うっかり脱税を防ぐ「投資にかかる税金」超基本

基本は「利益が出た場合」

投資を始めるなら、税金の話も避けて通れません。事業でもお給料でも、お金を稼いだらそこに税金がかかりますよね。投資で得た利益に対しても、税金がかかります。

投資にかかる税金の仕組みを知っておくことはとても大事です。最悪の場合、知らずに脱税していたなんていうことになりかねません。「バレないだろうから申告しなくていい」というのも、「忘れていました」というのも、言い訳にはなりませんので、気をつけてください。状況次第では突然、自宅に税務署の職員がずらっと調査に現れるという可能性もあります。

また、ネット上にはさまざまな情報があり、さまざまな運営業者があります。ネットで投資のことを調べていると、メールアドレスを登録するかわりに「ノウハウを教える」など、魅力的な宣伝がたくさんありますが、「魚を与えるのか、魚の釣り方を教えるのか」という点は1つポイントになります。

まず、基本は「1月から12月までの1年間トータルで利益が出た場合に税金がかかる」ということです。1年間の損益を合計して、損失のほうが大きければ税金はかかりません。また、「含み益」と言って、「もし売却すれば利益が出る」という状態のものは利益として計算しません。決済して、利益が確定したもののみ計算します。

投資には株式投資やFXなどいろいろな種類がありますが、そのカテゴリによって税金のかかり方がちょっと違います。

・個別株や投資信託
20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
※ただし株主優待は雑所得となり、一律20.315%ではない

・FXや先物取引、オプション取引
20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

・暗号通貨(仮想通貨)
雑所得。所得に応じて変わる。(所得税は最大45%、住民税は一律10%)

カテゴリが違うと、損益通算することができません。

例えば、1年の間にAという株で利益が出て、Bという株では損失が出たという場合、同じカテゴリですから利益と損失を合算することができます。ところが、Aという株で利益が出て、FXでは損失が出たという場合、カテゴリが違うので合算できないのです。株は株で、利益に対して税金がかかることになります。FXと先物取引、オプション取引は合算ができます。

暗号通貨の課税は?

暗号通貨は、まったく別で総合課税です。暗号通貨で得た利益は「雑所得」として、ほかの所得と合計して課税されます。これは、ほかの投資に対する税金より不利。所得税の税率は「累進課税」といって、所得が大きい人ほど税率が高くなる仕組みです。ですから、暗号通貨で大きく稼いだ場合、所得が大きくなって税率も高くなる、ということです。2017年頃には、暗号通貨で1億円稼いだ! なんていう話がチラホラ出ていましたが、この税金の仕組みでは、所得税・住民税で55%ですから5500万円を納めなければなりません。税金のことを忘れていてうっかりすると大変なことになるので要注意ですね。

また、海外FXは国内FXと違い、総合課税なので注意してください。暗号通貨と同じ扱いで、税率が高くなります。

 

海外での取引は税金がかからないのでは?(バレないのでは?)と勘違いをしている人がときどきいますが、そんなことはありません。日本と各国との間で租税条約ネットワークがあって、日本の国税庁は、必要があれば情報の収集・提供を海外の租税当局に要請することができます。

また、暗号通貨は海外の取引所に置いてあって、現金化しなければ、税金はかからないと誤解している人もいますが、日本円に現金化しなくても、決済した時点で利益が出ていれば、申告の可能性が生まれ、また、暗号通貨は「Aという通貨からBという通貨に交換」をするだけでも、Aに利益が出ている場合には、課税対象になります。

Aに利益が出ていて、現金化することなく、Bという暗号通貨に乗り換えたとき、その後Bの暗号通貨が暴落し、現金化するお金がなくなったとしても、Aの暗号通貨を交換した時点の課税が問われる可能性があります。

これも、大きなお金を失う可能性があるので、投資をするうえではご注意ください。

株や国内FXなどで約20%の税金を証券会社に計算してもらっているぶんには問題になることはないですが、暗号通貨や海外FXにチャレンジする場合は税金のこともよく理解したうえで行うようにしてください。

確定申告をする必要があるかどうか

まず大前提として、税制というものは変更がありますので、確定申告の前には「管轄の税務署のコールセンター(相談窓口)」に、電話で相談をしてみることをオススメします。

基本的には、投資での儲けについては、「その1年間の投資で確定した利益に対して約20%の税金がかかり、原則として確定申告が必要」です。ただ、金額等によって確定申告の必要がないケースもあります。確定した利益であることがポイントとなり、「まだ証券会社や海外口座で、現金化していない状態でも、確定していたら対象となる」ことや、「含み益の状態で利益が出ているけど、ポジション保有中は確定していない」など、「たくさんの銘柄、金融商品を持っていて、利益が出ているものがあれば、損失のものもあり、どうなんだろう」など、明確でない場合には、税務署に電話をしてみることができます。匿名で確認ができますし、無料で勉強になります。

投資をしている、していないにかかわらず、確定申告をする必要があるかどうかについて、一般的な事例はこちらです(2021年6月時点)。

・給与所得者(会社員、パート、アルバイト等)
→投資の年間利益が20万円を超えると確定申告が必要。

・非給与所得者:専業主婦、専業トレーダー等
→投資の年間利益が38万円を超えると確定申告が必要。

本業があってお給料をもらっている人であれば、投資の利益が年間20万円までなら確定申告がいりません。副業と同じです。

給与収入がない人は、投資で得た利益が38万円以下なら確定申告の必要がありません。

ただし、以下の項目にあてはまる人は確定申告が必要です。

• 個人事業主の人
• 給与の収入金額が2000万円を超える人
• 給与を2カ所以上から受けている人
• 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子等の収入がある人

「証券会社による源泉徴収」で楽に

 

また、証券会社で口座を開くときに「証券会社による源泉徴収あり」を選択した場合、確定申告の手間が省けることがあります。会社員の所得税を会社がかわりに納めてくれるように、証券会社がかわりに納めてくれます。

もし、複数の証券会社を利用している場合には、それぞれの証券会社で「年間取引報告書」など、その年の売買結果が記載されている用紙が郵送されてきたり、ダウンロードできたりしますが、その場合には、「確定申告」をすることで、損益通算ができたり、払いすぎた税金が戻ってきたりするので、確定申告は行うものと心がけておくほうがいいと思います。将来、投資でも何でも、儲かるようになった場合には、確定申告は必須になります。