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「薄毛が気になる人」がやりがちな間違った5習慣

 

そもそも人はどうして薄毛になるのか

多くの人は、薄毛は遺伝によって継承されるものだと考えています。男性ならば「おじいちゃんや父親がハゲていると、ハゲる確率が高い」と思い込んでいる人がほとんどではないでしょうか。

私は、遺伝は薄毛になる要因のひとつであってすべてではない、と考えています。よく考えてみると、祖父や父親が薄毛になっていても本人はそうなっていない人はいますし、兄弟が同じように薄毛になっているわけでもありません。では、遺伝のほかにどんな要因があるのでしょうか。

それは生活習慣だと思います。「頭皮環境」にとってよい生活習慣であれば薄毛にはならず、そうでなければ薄毛になっていく、ということです。生活習慣を改善していけば、「薄毛になりやすい人」でも薄毛にならないのです。

●よくない習慣①:皮脂さっぱり系シャンプーで洗う

頭皮環境とは、主に頭皮の衛生状態、栄養状態をいいます。頭皮環境を整えることは、薄毛改善の重要なポイントのひとつです。

頭皮環境はシャンプーで整えるのが基本です。シャンプーしだいで髪は増えもすれば、減りもします。間違ったシャンプーを使って皮脂を取りすぎていると、毎日洗髪していても「衛生状態のよい頭皮」とはいえません。

●よくない習慣②:湯シャン

「湯シャン」も頭皮環境を悪化させる一因です。確かに刺激の強いシャンプーを使わないことは頭皮にいいといえますが、お湯だけで洗っても皮脂が残ってしまうのです。

育毛を考えるとき、シャンプーは絶対に軽視できません。良質なシャンプーの選び方については、本書でまとめて解説していますので参考にしていただければと思います。

 

頭皮環境には頭皮の乾燥状態も含まれます。私は昔小鼻の脂をあぶらとり紙でせっせと取っていたことがありました。取るとなくなってしまうので、体はまたどんどん出そうとします。ところが、化粧水をつけるようにしたら、脂の分泌が収まりました。化粧水で保湿されたので、出る必要がなくなったからでしょう。ホルモンのバランスが崩れ、間違って脂を出してしまっているだけなので、そこを補うような処置をすれば脂の分泌は抑えられるのです。

頭皮も基本的には同じ構造ですから、保湿することで脂が過度に出なくなります。

脂が必要以上に出ない状態であれば、皮脂汚れがたまることもなく、毛穴が詰まることもありません。すると、ハリ・コシ・ツヤのある元気な髪が生えてくる環境が整います。

まずは、ご自身の使用されているシャンプーが、きちんと「保湿」できるものかチェックしてください。

●よくない習慣③:熱いシャワーを浴びる

頭皮への刺激を減らすことも頭皮環境を良くするために大切です。刺激といってもいろいろな意味があります。まずはシャンプー時の水温について考えてみましょう。

シャンプー時の水温は、熱すぎても冷たすぎてもダメです。頭皮への刺激になってしまいます。私のヘッドスパに来るお客様にシャワーの水温について尋ねると、皮脂をしっかり洗い流す目的で、水温をかなり高めにしている人が多く、とくに男性にその傾向が強いようです。多くが40〜41℃くらいで、人によっては朝に目を覚ます必要もあって42℃のシャワーを浴びているという人もいました。

ドライヤーの使用はオススメしない?

育毛の観点からすると、40〜41℃でも熱すぎます。かといって、36℃以下だと低すぎて余分な皮脂を洗い流すことができず、酸化汚れがたまります。髪と頭皮に最適な水温は、体温よりちょっとだけ高い37~39℃のお湯です。これなら余分な皮脂をしっかり洗い流すことができ、地肌に刺激を与えることにもなりません。

●よくない習慣④:ドライヤーでしっかり乾かす

私は基本的にドライヤーの使用をオススメしていません。「基本的に」という意味は、頭皮に熱風が当たらないように毛先を乾かす場合には使うこともあるということです。

ドライヤーを使わないのは、熱風で頭皮が乾燥するのを防ぐためです。一般的なドライヤーは、5cm離れた距離で100~110℃程度となるように設定されています。これほどの熱風を顔面に吹きつけたら、肌はたちまち乾燥してヒリヒリしてくることでしょう。頭皮でもこれと同じことが起こると考えると、熱風が与える悪影響がわかると思います。シャンプーのあとは、ドライヤーを使わずタオルドライで十分です。

濡れたままにしておくと、雑菌が繁殖することはあるのですが、それは乾かさずにベッドに入った場合です。タオルドライのあと、ベッドに入らずにしばらく起きていれば、髪の水分はどんどん蒸発していきます。髪の短い男性なら15分、髪の長い女性でも80分もすれば完全に乾くと思います。これぐらいの時間なら雑菌が繁殖することはありません。

どうしても使いたい場合は、設定を「冷風」にして頭皮への刺激を極力少なくしましょう。

●よくない習慣⑤:雑菌が繁殖するから帽子はかぶらない

昨今、紫外線による害毒がよく知られるようになりましたが、顔や腕にはせっせと日焼け止めクリームを塗る人でも、頭皮には無頓着な人が多いようです。頭は私たちの体の中で一番上に位置するため、頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びているといわれています。

紫外線をはじめとする太陽光線によって起こる老化は、光老化と呼ばれています。驚くべきことに、人の老化の原因として、加齢による老化はたった約20%、光老化は約80%だといわれています。

つまり紫外線は、加齢による老化よりも、はるかに髪に悪影響を与えていることになります。光老化によって頭皮が老化し、毛穴が縮こまってしまえば、当然髪は生えなくなります。また強い日光を浴びると、汗や皮脂が酸化しやすくなり、いま生えている髪の毛だけでなく、これから生えようとしている髪の毛にもダメージを与えます。

帽子をかぶったり日傘をさしたりして、紫外線を防ぎましょう。頭皮の場合はやはりとくに夏の紫外線に気をつけてください。夏の紫外線が原因で、秋口の抜け毛は通常の2倍に増えるといわれています。

男性の間では「帽子をかぶると雑菌が繁殖してハゲる」ということが根強く信じられているのですが、毎日シャンプーをして、清潔な帽子をかぶっていれば、それほど雑菌は繁殖しません。帽子をかぶることで紫外線を遮断できる効果のほうがよほど大きいと考えてください。

「髪」のことだから誤情報に振り回される

今ではインターネットのおかげで、だれでも簡単に育毛に関する情報を手に入れられるようになりました。しかし専門家から見ると首を傾げたくなる間違った情報をよく見かけます。

「薄毛は遺伝」

「育毛には湯シャンがいい」

「シャンプーを変えたくらいで髪は生えない」

「一度抜けた毛穴からは髪は生えてこない」

「さすがに白髪を減らすことはできない」

結論を申しますと、これらはすべて間違いです。

髪は私たちのカラダの組織の一部です。爪が自然と伸びるのと同じ理屈で増えます。育毛のポイントさえ押さえれば、ムダなお金を費やさずに、だれでもカンタンに髪を増やすことができるのです。これまで「増毛」「育毛」と聞くと、たくさんのお金を払って「特別なこと」をするようなイメージがあったかもしれませんが、本書を読めば、その常識が覆ることでしょう。