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日本人の旅に今まさに起きている「5つの大変化」

個人旅行は「リサーチ力」が重要に

1. 個人旅行が増加するものの不安な人にはツアー

密を避けることが大前提となるコロナ禍の旅では、少人数の個人旅行のほうが安心して旅行できることでしょう。2020年にじゃらんが調査した新型コロナウイルス感染症拡大による旅行価値観の変化においても、個人旅行の増加の傾向はコロナ禍で顕著に見られます。

ですが、安心して個人旅行を行うには、個人のリサーチ力が必要です。観光地やホテルのコロナ対策は大丈夫か、安心して移動できる手段はあるか、現地の人たちの受け入れ態勢がどうか……。その手間を考えると、ツアーを選ぶという選択肢も出てくると思います。

コロナ禍でのツアーは、旅行会社が十分なコロナ対策がされている観光地やホテル、飲食店を選定していたり、食事はグループ別で他の参加者との交流を減らしていたり、毎日検温を必ずして参加者の体調管理をしてくれたりもします。

そのため、体温計を持ち物に入れるツアーもあります。旅行会社も旅行中にコロナ感染者を出さないよう、最大限配慮してくれますので、ツアーはツアーで安心して旅行できるというケースもあると思います。

いずれにせよ、旅をする上でできる限りの不安が払拭された方が楽しめると思いますので、ご自身で安心できる旅の仕方を選ぶといいでしょう。

2. インスタ映えの終焉

コロナ前は、インスタ映えスポットが人気を博していました。しかし、そういったスポットは多くの観光客が訪れ、どうしても密を避けることができません。

そのため、リスクを取ってインスタ映えに行くくらいなら、誰かがオススメする定番の人気スポットではなく、本当に自分がやりたいことをし、行きたいところに行くという、自分満足度が高いオリジナルの旅をする人が増えています。

コロナで予約が必要な施設や営業時間がイレギュラーな施設が増えてきていることから、旅先でのトラブルやハプニングにも柔軟に対応できるように「詰め込みすぎない旅行」も増えてきています。そんな旅の場合は、数あるアクティビティの中からやることを厳選する必要があり、それが、自分が本当にやりたいことを選ぶ旅が増えている要因にもなっているのではないでしょうか。

そういった意味でも、誰かのオススメでしかないインスタ映えスポットはどんどん価値が低下し、それよりも、ニッチでも確実なニーズがあるスポットや熱狂的なファンがついているスポット(例えばサウナやキャンプなど)の方が、人気が出てきているのではないでしょうか。

旅で「リフレッシュ」できるワケ

3. 非日常をいかに作るか

旅の最大効果は、「旅先の経験によって心の疲れがリフレッシュされることで、旅から日つねに戻った時に、ポジティブな気持ちになれて、やる気がみなぎること」だと考えます。

私は、コロナ前は、週末だけで海外旅行へ行きまくっていました。もちろん体力的には疲れますが、心の疲れがリフレッシュするため、帰国後の仕事もがんばろう!と思えて、旅をしたことによって旅を終えたあとも非つねにいい影響があり、だからこそ短い時間でも、仕事のためにもなると自分を言い聞かせて、世界中を飛び回っていました。

その旅先での心のリフレッシュ。1番の要因となっていたのは、「非日常を感じること」です。旅先での非日常体験が、日常から私たちを解き放ち、心に安らぎと刺激を与えてくれていたことでしょう。

コロナになって、一番気軽に味わうことが難しくなったのが、その"非日常"ではないでしょうか。長く続いた緊急事態宣言、在宅でのテレワーク、ステイホームなどによって、非日常がない暮らしをされている方がほとんどではないでしょうか。そのせいで、心の病を患ってしまったと言う話もよく聞きます。

しかし、非日常はけっして海外旅行に行かないと作れないものではありません。街を歩くだけでも、非日常は作れます。自宅のまわりを散歩するだけでもできます。重要なことは、視点をズラすことです。

旅先から帰ってきたら、いつも通りの日常が少しだけ色鮮やかになった経験はありませんか?その感覚を思い出してください。その上で、いつもと違う道を通ってみる、入ったことないお店で何か買ってみる、街で暮らす人を観察してみる……そんな些細なことでも、いつもと違う視点を持って歩いてみると、さまざまな発見があり、それが非日常を感じさせてくれます。

帰国後の待機措置がなくなり、自由に海外旅行に行けるようになるまでは、そのような方法で非日常を作ることが、あの旅気分を味わうため、そしてコロナによって疲れてしまった心をリフレッシュするための1つの方法になることでしょう。

「外国人観光客」で賑わっていたところへ

4. 外国人観光客がいない今こそチャンス

コロナ禍だからこそ、コロナ禍にしかできない旅をした方が効率的です。そう考えた場合、一番オススメなのは、外国人観光客がたくさん行っていたスポットに足を運んでみることです。

2019年、訪日外国人旅行者は過去最高の3000万人を超え、国内の定番の観光地はたくさんの外国人観光客でにぎわっていました。しかし、今はどうでしょう。定番の観光地や外国人に人気の観光地は、外国人の姿はほとんど見当たらず、当時ほどの活況な様子は見られません。

しかし、それもあって、一部の観光地では、いい意味で、コロナ前とはまったく違った表情を見せてくれるでしょう。すでに人が戻りつつありますが、観光客が少ない京都は今しか見られないかもしれません。旅先がたくさんの観光客で賑わう状況に早く戻ってほしいと願っていますが、今は、今しかできない旅行を、前向きにしてみるのも良いと思います。今しか撮れない貴重な写真も撮れることでしょう。

コロナ禍”だからこそ”できる旅もあるのです。

5. お互いが安心できる旅を

観光は、旅行する人と旅行を受け入れる人で成り立つ産業です。となると、旅行をする人が「自分がコロナ対策をしているから大丈夫」なのではなく、旅行を受け入れる人たちとの相互理解が必要になってきます。特に、旅行を受け入れてくれる現地の人たちの気持ちは非つねに大事です。

旅行は、あくまで旅先に住む人たちの"日常"にお邪魔させてもらうことで初めて成り立つ行為だと考えます。ですから、その旅先で暮らす彼らが前向きに受け入れてくれない限りは、旅人がフラっと行って受け入れてもらうことは、なかなか難しいでしょう。医療体制の整備がなかなか進んでいない地域などは、観光客の受け入れ態勢がまだまだ進まないと聞きます。

では、旅行先の観光客受け入れ態勢をどのように調べたらいいか。一番わかりやすいものは、旅行先の自治体が観光キャンペーンです。すでに観光客を呼び戻すための施策をGo To トラベルに先立って実施している自治体も多くあります。

そうやって観光客の受け入れキャンペーンを行っている自治体は、自治体側もウェルカムでしょうし、地元の人たちの理解も得られているはずなので、こちらさえ準備万端で行けば問題ないことでしょう。

そういったキャンペーンは、ほとんどがインターネットで調べられますので、出発前までに調べておくことをオススメします。

「Go To Travel 2.0」を待つばかり

以上のような旅のカタチに変化が出てきたここ1年半。海外旅行に関しても、まだ時期は見えませんが、いよいよ帰国後14日間の待機措置が撤廃となる日を待つばかりとなりました。

ちなみに、その海外旅行で今後起きそうな変化では、ワクチンパスポートが広い国で使用できるようになることに加えて、海外旅行保険の加入ならびその保険の英文の契約書持参は必須になってくると予想されます。

それは、万が一、現地でコロナに感染し入院した場合に備えておくためです。受け入れる国も、医療費が払えない人を受けるのはリスクしかありません。また、国によっては、入国ビザなどの入国条件がコロナ前から変更になっている場合もあるので、つねにそうした最新情報のチェックは必要になってくるでしょう。

そんな新しい海外旅行を夢見つつ、それまでは国内旅行を満喫しようと考えている方も、私を含めて多いはず。「Go To Travel 2.0」も年明けから始まるのではと予想されており、いよいよ新しい旅のカタチで多くの人が旅できる社会に戻りそうな気運が高まってきました。コロナ対策を万全に施しながら、コロナ禍でもできる新しい旅のカタチを実践して、安心・安全で新しい旅を楽しみましょう。