英語の効率が良い学習の仕方

海外ドラマからフレーズを盗む

ボキャブラリーを増やすために、難しい参考書を読んだり単語カードをつくったりすることは必ずしも必要じゃありません。もちろん、いろんな角度から英語を勉強するっていうのはためになることだし、姿勢としてはとっても大切です。

でも、もし「英語の参考書見るのツライ」や「単語カードつくるの面倒」ってなってしまっていたら……他の方法を試してみるのはどうでしょう? ボキャブラリーは楽しみながら増やせます!

ここでは、ふだん楽しんで見ているものから、ひとりごとに使える英語をちゃっかり盗んじゃう、いろんな手段を紹介していきたいと思います。

最もオススメしたいのが海外ドラマからフレーズを盗むことです。海外ドラマには、日常会話でそのまま使えるフレーズが詰まっているので盗むのにうってつけ。それに、英語の参考書と何時間もにらめっこしているのはツライけど、海外ドラマなら延々と英語に触れていても苦にならないと思いませんか。

過去に『ストレンジャー・シングス』や『エミリー、パリへ行く』などにハマって、気づいたら丸1日経っていた!なんて経験がある人もいると思います。何を隠そう、私も根っからの海外ドラマフリーク。高校生のころからこれまで見てきたタイトルは数知れません。

今でも毎日「夜寝る前は海外ドラマか映画を見る時間」って決めています。そうして今、振り返ってみても、海外ドラマから英語を理解する多くのヒントを学べたっていう実感があります。

私みたいに海外ドラマを見ることがすでにルーティンになっている人はいると思います。だからこそ、ただただ見るなんてもったいない! これからは、海外ドラマを「1つでも使えるフレーズを盗む」っていう気持ちで見るようにしてみてください。その小さな一歩が、あなたのひとりごと英語をより洗練されたものにしてくれます。

『Stranger Things』のセリフを盗む

Netflixが配信する『StrangerThings(ストレンジャー・シングス)』は、言わずと知れた大人気シリーズ。男の子が行方不明になった事件を発端に、インディアナ州の小さな町で次々と怪奇現象が起こるというハラハラドキドキのSF ホラーです。

そんな『Stranger Things』のセリフからフレーズを盗んでみることにしましょう。ホッパー警部は、のどかなホーキンスという町の警察署長という役どころ。次の英文は、朝、出勤したばかりのホッパー警部が、事件の報告を受けて口にするセリフです。

Mornings are for coffee and contemplation.
(朝はコーヒーと瞑想のための時間だ)

これは「朝くらいゆっくりさせろ」というニュアンスの一言。こんなさりげない一文にも、盗めるフレーズがあります。

セリフの頭にくるMornings are for というフレーズ。和訳と照らし合わせてみると、「朝は○○のためにある」という意味で使われているのがわかります。英語を盗むときは、簡単な単語の組み合わせでできているところに注目してください。

こんな言い方って、教科書ではまず目にしませんよね。でも、あとにくるcoffee and contemplation を自分流に変えれば、次のような言い方ができると思いませんか。

My mornings are for playing with my cat.
(私の朝は猫と遊ぶためにある)
Sunday mornings are for oversleeping.
(日曜の朝は寝坊のためにある)

こんなふうにさらりと華麗にフレーズを盗んじゃいましょう。「これって簡単に使えそう」っていうフレーズに出会ったら、キャラのセリフを自分なりのひとりごとに置き換えてしゃべってみるっていうのが盗み方のコツです。

目についたフレーズをネットの辞書で検索する

『Gossip Girl』のセリフを盗む

『Gossip Girl』はニューヨーク・マンハッタンの一角にあるアッパー・イーストサイドを舞台に、超セレブな高校生たちが繰り広げる学園ドラマ。英語としては10代、20代ならではのスラングっぽい表現が多いのが特徴ですが、このドラマにハマっている当時、同世代だった私にとって「自然でイケてる英語」も知れるいい教材でした。

『Gossip Girl』には例えば、こんなセリフが出てきます。

If you’re going to be sad, you might as well be sad in Paris.
(どうせ悲しむなら、パリで悲しみなさいよ)

 

これは、落ち込んでいるブレアに対して、親友のセリーナがパリ旅行に誘うときに言うセリフです。聞いたとき「かっこいいなぁ。こんなセリフ、私も友だちに言ってみたいなぁ」ってすっかり気に入っちゃいました。

ここで注目したいのがmight as wellっていうフレーズです。might as well ○○は「○○した方がいいかもね」みたいな意味があって、次のように応用できます。

If you’re going to pursue your dreams, you might as well enjoy pursuing them!
(夢を追いかけるなら、楽しんだ方がいいよ!)
The party was so boring that I might as well have stayed home.
(家にいるほうがよかったかもしれないぐらい、パーティーは退屈だったわ)

目についたフレーズをWeblio(オンライン英語辞書サービス)で検索すれば、同じフレーズを使った例文が出てきます。そこで、might as well の前後にどんな英語がきているか、できるだけたくさん例文を見てみてください。例文を見れば見るほど、どんなシーンで使われるかがイメージしやすくなり、使い方のコツをつかめてきます。そこから自分の言いたいことに当てはめて、こうやってアレンジできるようになるんです。

こんな感じでハマっているドラマのキャラになりきってしゃべってみるのも、気分が上がって楽しくなるスパイスになります!

日常のリアルなシーンでぴったりくる英語を使える

『エミリー、パリへ行く』のセリフを盗む

『エミリー、パリへ行く』は、私の大好きな女優リリー・コリンズ主演のドラマ。憧れのパリに移住したキュートなエミリーが 、夢の海外生活をおくる模様を描いたお洒落なコメディです。英語の原題は『Emily in Paris』。

『エミリー、パリへ行く』では、こんなセリフが出てきます。

Oh my God, I feel like Nicole Kidman in Moulin Rouge!
(なんてこと。ムーラン・ルージュのニコール・キッドマンになった気分だわ!)

パリに着いたエミリーが部屋の窓から街を見渡してつぶやく一言。とってもシンプルな英語だけど、これからの生活に期待をよせるエミリーのワクワク感が伝わってくるステキな一言ですよね。

シーンとセットでこのセリフをまるっと覚えている私は、こんどディズニーランドの『美女と野獣』のエリアに行ったときに、テンションが高まってこう口走るはずです!

Oh my God, I feel like Belle in Beauty and the Beast!!
(なんてこと。『美女と野獣』のベルになった気分だよ!!)

 

ちなみに、私の「ベル」っていう名前は、子どもの頃に大好きだったディズニー映画『美女と野獣』のベルからとったもの。すごくワクワクしている気持ちが伝わる英語になると思います(笑)。こうしてドラマのセリフからフレーズを盗んでおくと、日常のリアルなシーンでぴったりくる英語を使いこなせるようになります。

海外ドラマはNetflixやAmazon Prime、U-NEXTなどの動画配信サイトで見られますが、DVDで映画を見るときのように、音声と字幕を日本語や英語に自由に切り替えることができますよね。この便利な機能を英語学習に使わない手はありません。

英語を盗むときは、次のように1話につき2回見るのがオススメです。

①英語音声・日本語字幕で見る
1回目は日本語字幕で言っていることを理解しながら、英語はなんとなく耳に入れてください。引っかかる表現や気に入ったセリフがあればスマホに軽くメモしておくといいです。
②英語音声・英語字幕で見る
2回目は字幕を英語にして見ます。耳に入る英語を意識しながら字幕を読んでみましょう。キャラになりきって、口に出してみるとなおよし! メモしておいた場面にきたら、どんな英語が使われているかに注目して、フレーズや英単語などを調べるきっかけにしてみてください。

そして、海外ドラマのセリフからフレーズを盗む際にちょっと頭に入れておきたいのが、ドラマにはそのまま使うとちょっと失礼になっちゃうスラングも多く使われているってこと。盗むときにはそのまま使えそうかどうか、言葉の性質にも少し目を向けてくださいね。

アメリカ英語とイギリス英語の違いも意識してみる

さらに「アメリカ英語」と「イギリス英語」の違いまで意識して見ることができれば、英語のひとりごとももっと楽しくなってきます。英語に慣れるとこの2つを徐々に聴き分けられるようになってきますが、入り口では「英語はぜんぶ英語」に聴こえるはず。でも実際は、アメリカ英語とイギリス英語は、発音や単語にけっこう違いがあります。

例えば、tomato(トマト)をアメリカ英語では「トメィトゥ」のように言いますが、イギリス英語だと「トマァート」のように言います。単語自体が変わることもあって、「秋」はアメリカ英語ではfallですが、イギリス英語ではautumnを使うのが一般的です。

私が知っている中でアメリカ英語を話すハリウッド俳優は、ジェニファー・ローレンス、エマ・ストーン、ブレイク・ライブリー、ウィル・スミス、ブラッドリー・クーパー、ロバート・ダウニー・Jr など。

一方、わかりやすいイギリス英語を話すのは、ヘレナ・ボナム・カーター、エミリー・ブラント、ジュード・ロウ、トム・ヒドルストン、ベネディクト・カンバーバッチなどです。

自分がどちらの英語がしゃべれるようになりたいか決めて、お手本にするドラマを選んでみるのもいいかもしれません。