アメリカの高校生が学ぶ「経済的に自立」する方法

どうすれば「経済的に自立」できるのか

「経済的に自立した個人」になるために、まず覚えておかなければならないのは、自分のお金の面倒を見るのは自分しかいない、ということだ。

子どもであれば、たいていの場合、生活に必要なお金は親に出してもらうことができる。しかし、それが永遠に続くわけではない。とても裕福な家に生まれたのであれば、大人になってからも親が残してくれたお金で暮らしていけるかもしれない。しかし、そんな幸運に恵まれたとしても、お金の扱い方をきちんと知っておくのは非常に大切なことだ。

お金持ちでも、そうでなくても、自分のお金は自分で管理しなければならない。人は生きていれば、毎日たくさんの決断をする。そして、その多くがお金に関する決断だ。

人生には、友達をどうやって選ぶか、家族にどのように接するか、失敗したときにどうやって立て直すかといった重要な決断があるが、お金に関する決断もそれと同じくらい重要だということを覚えておこう。いい決断を下すことはもちろん、大人であれば決断の結果に責任を持つことも求められる。私たちは、自分の行動に責任を持たなければならない。中でも特に大きな責任を伴うのが、お金に関する決断をするときだ。

お金がたくさんある人も、ほとんどないという人も、真っ先に知っておかなければならないことがある。それは、周りにいるすべての人が、あなたのお金を奪おうとしているということだ。

マクドナルドはあなたにハンバーガーを売ろうとするし、保険会社は「これが最低限必要な保険です」などと言って、あなたに保険を売ろうとするだろう。あるいは、詐欺であなたからお金をだまし取ろうとする人もいるかもしれない。

いずれにせよ、お金を使う場面でどういう決断をするかで、お金に苦労する人生を送るかどうかが決まるのだ。

ここで大切なのは、あなたのお金に関するあなたの決断が、あなたの未来を決めるということだ。もちろん、誰かほかの人のせいで、困った事態に陥ることもあるだろう。でもたいていの場合、人生で起こることは自分の決断の結果だ。

 

あなたはこれからの人生で、さまざまな形で自分の決断に責任を持つことになる。しかしここでは、まず「自分のお金に責任を持つこと」から始めてみよう。

人生設計とお金の関係

あなたがまだ10代であるなら、残りの人生の計画をすべて立てるのは不可能だろう。30歳になっても、将来のことが決められない人はたくさんいる。それはそれでかまわない。すべての人が、「何歳までに何をする」といったような、具体的な人生設計をしなければいけないわけではないからだ。

とはいえ、キャリアや結婚といった人生の大きな要素については、だいたいの目標は決めておいたほうがいいだろう。幸せで充実した人生を送りたいのであれば、次の項目について自分がどうしたいのか、じっくり考えておいたほうがいい。

【教育】きちんとした教育を受けずに、自立した社会人になるのは難しい。世界の変化のスピードについていきたい、キャリアで成功したいと思うなら、なおさら教育が大切になる。教育を受けることはそれ自体に価値があるのはもちろん、教育には人生の目標を達成するための道具という側面もある。いい教育を受けなければ、人生の選択肢も限られてしまうのだ。多くの人にとって、高等教育を受けることや、専門的な訓練を受けることは、人生の重要な目標のひとつだ。

【キャリア】キャリアとは、自分がしてきた仕事の積み重ねだ。企業の求人や雇用は自分で決めることはできないし、自分でビジネスをやるにしても、景気の動向に大きく左右されたりする。とはいえ、スキルを磨いたり、経験を積んだりすることで、ある程度までは自分のキャリアをコントロールすることはできるはずだ。世の中の流れや、経済情勢を知っていれば、正しいキャリアの選択をする助けになる。充実したキャリアを築き、大きな満足感を得ている人はたくさんいる。

【恋愛・結婚】生涯独身でも、高校時代の恋人とそのまま結婚するのでも、あるいは何度も結婚するにしても、決まったパートナーがいるといざというときに支えてもらえるという安心感がある。それに、パートナーがいることは、意義深い人生につながるかもしれない。恋は計画とは関係なく突然やってくるものだが、そこからきちんとした関係を築いていくには、お互いの努力と責任感と理解が必要になる。パートナーシップや結婚といった人間関係は、人生の中で大きな位置を占める。

【家族】現代は家族も多様化し、予測できない要素も多い。計画的に子どもを作る人もいれば、予定外で子どもができた人、生涯子どもを持たないという人もいるだろう。多くの人は、自分の親や子どもだけでなく、親戚たちのサポートもしている。子どもを育てること、家族や親成のサポートをすることを人生の目標にする人も多い。

【物質的な豊かさ】崇高な精神や、心の豊かさがあればいいという人もいれば、大きな家、高級車、高価な宝石などが欲しくてたまらないという人もいる。中でも多くの人が欲しがるのが、いわゆるマイホームだ。マイホームはおそらく、人生で最も高い買い物になるだろう。自分はどのような物質的な豊かさを求めるのかということをよく考えておくと、お金の計画を立てるときに役に立つ。

【老後の生活】ほとんどの人は、人生のある時点で仕事を引退し、老後生活に入ることになる。あるいは、生涯現役を目標にしている人もいるかもしれない。職業の種類によっては、ずっと働くことが可能なこともある。私は、これから社会に出る学生や、働きはじめたばかりの若い社会人に向けて書いているので、読者の多くはそんな先のことまで考えられないと思っているだろう。今のところは、いずれ老後はやってくるということ、そして老後のすごしかたも人生の目標のひとつになるということがわかっていればいい。

ゼロからはじめる「資産」の作り方

これから資産を作っていこうとしている若い人なら、自分でしっかり勉強すれば、専門家に頼らなくても、自分の力だけできちんとしたお金の計画が立てられるようになるはずだ。一方でファイナンシャルアドバイザーや、ファイナンシャルプランナーなどと呼ばれるお金の専門家がいる。あなたもいつか、彼らのお世話になるかもしれない。今のところは必要ない人がほとんどだろうが、そういった専門家が存在するということや、彼らの仕事の中身を知っておけば、いざというときに助けになるだろう。

お金の専門家の仕事は、お金に関するアドバイスをすることだ。資格が必要な場合もあれば、そうでない場合もある。いずれにせよ、資格があるからといって、その人の言うことが全面的に信用できるというわけではない。

まず覚えておかなければならないのは、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーを名乗る人の多くは、特定の金融機関や保険会社からお金をもらって契約しているということだ。だから、自分が契約している金融機関の金融商品や、保険会社の保険をあなたに売ろうとする。

もちろん、金融商品を買うこと自体に問題があるわけではなく、保険が必要になることもあるだろう。しかし、特定の会社とつながっている専門家のアドバイスを鵜呑みにすると、自分にとって本当に必要なものが選べないという事態になってしまうのだ。

でも、ありがたいことに、特定の金融機関や保険会社とは関係なく、完全にフリーで働いているお金の専門家はたくさんいる。彼らはアドバイスというサービスに対してお金をもらっているので、自由な立場で、あなたが本当に必要としているものを教えてくれるだろう。あなたが料金を払い、彼らがあなたのために計画を立てるという関係だ。

また最近では、アルゴリズムを使って、それぞれの顧客に最適な資産運用を提案してくれる「ロボアドバイザー」というサービスも多くなってきた。これはインターネットで簡単に申し込め、料金も安くてすむので覚えておきたい。