今日からまねしたい「一流の人のすごい考え方」

ドクター・中松が失敗をしない理由

日本を代表する発明家の1人、ドクター・中松こと中松義郎さん。その突飛な言動は理解不能。しかし彼が携わった数々の発明を見ると、やはり天才だと思わされます。

さて、この天才。「今までに、失敗した発明はありますか?」と聞かれると、決まって「自分の発明はすべて成功している」と言い切ってしまうのだそうです。

ここで問題です。

問題:ドクター・中松が「自分の発明はすべて成功している」と言う理由は何でしょう?

答え:成功するまで、絶対にギブ・アップしないから。

「失敗」なんて存在しない。あるのは、「成功」につながる「経験」だけ。

ドクター曰(いわ)く「現段階で失敗してしまっていても、そこで終わりではなく、それをさらに粘り強く工夫したりして、必ず成功まで持っていく」。

あのエジソンも「成功するための確実な方法。それは、どんな時も、『もう1回だけ試してみる』と思い続けること」と言っています。

エジソンは白熱電球を発明するとき、フィラメントに適した材料を見つけるために、植物繊維や動物の爪など6000種類近くもの物質を実験して調べたそうです。結局、京都の竹が選ばれたのですが、気の遠くなるような作業です……。

映画『おくりびと』の脚本家として知られる小山薫堂さん。これは、彼の著書『考えないヒント』に出てくる、あるカメラマンの話です。

そのカメラマンが、新潟で50年間もお米を作り続けている農家のところへ取材に行ったときのこと。写真を撮り終えて、最後に、何気なく「今年のお米の出来はどうですか?」と聞いたのだそうです。

それに対する農家の返事が実にカッコよかった。きっとこの人は、感じるままに答えたのでしょうが、人生の教訓になるような一言だったのです。

問題:この農家の人は「いや、わかりません」と言ったあと、何と言葉を続けたでしょう?

答え:「僕はまだ米を50回しか作ったことがないですから」

まさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」です。てんぐにならないにも、ほどがあります。

「まだまだ未熟」と、現状の自分に満足しない謙虚さが、仕事をさらに追求する姿勢につながり、それが成長としてわが身に跳ね返ってくるのだと思います。

謙虚な姿はとても美しいものです。一流の人の姿勢が「てんぐになるな」と戒めてくれます。

KKコンビを破った名監督の一言

桑田真澄さんと清原和博さんのいわゆる「KKコンビ」がいた時代のPL学園は本当に強かった。2人は2年生からレギュラーでしたが、夏の大会はとくに強く、優勝2回、準優勝1回。つまり彼らは夏の甲子園で、たった一度しか負けなかったのです。

「夏のKKコンビ」に黒星を付けた唯一のチームは、名将・木内幸男監督が率いていた当時の取手二高(茨城)。試合は取手二高が1点リードで迎えた9回裏。PLが起死回生のホームランで同点に追いつきます。

延長に入れば、サヨナラ勝ちができる裏の攻撃のほうが有利。優勝目前で追いつかれ、気落ちしてベンチに戻る取手二高の選手たち……。

問題:心が折れかかった選手たちを復活させた、監督の言葉は何だったでしょう?

答え:「よかったなあ、まだ甲子園で野球ができるぞ!」

甲子園の決勝戦。ということは、ほかのすべての球児の「夏」はもう終わっている。この大舞台で、まだ野球を続けられることがどんなに幸せなことなのか……。

この魔法の一言で、心機一転。プレッシャーを「喜び」に変えることができた選手たちは、10回表の攻撃でなんと4点を奪い、取手二高は茨城勢で初めての甲子園優勝を果たすことができたのです。

たった一言で、人はよみがえることがあります。贈り方さえ間違えなければ、「言葉」は「人類最高のギフト」です。

ツラいと思うことも、見方を変えれば、「自分だけしか味わうことができない経験をしている」と考えることができます。そう思えたら、しめたもの。今置かれている状況を、存分に楽しむことだけを考えればいいのです。

一流の人のエピソードには人を勇気づける力がある

本を読んだり、テレビを見ていたりすると、時としてすばらしいエピソードに出合うことがあります。私は、子どもの頃から「名言集」や「エピソード集」などの本を読むのが大好きでした。その頃、いちばん好きだった名言はゲーテの「涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない」です。

本書でお届けするのは、今までに私が見聞きした膨大なエピソードから厳選に厳選を重ねたモノばかりです。クイズ形式にしているので記憶にとどまりやすくなっています。

優れたエピソードには力があります。私自身、人生でピンチに立ったとき、一流の人たちの考え方が垣間見えるエピソードに助けられてきました。ご紹介したエピソードが1つでも、あなたの人生のお役に立つことがあればこれほどうれしいことはありません。また、この本を読むことで、プロ入り初のキャンプに参加した頃の大谷選手と、ちょっとした思考のシンクロを楽しんでいただければ幸いです。