東大生500人取材で判明、頭いい人は分解力が凄い

「才能」の問題ではなく「技術」の問題

「頭がいい人とそれ以外の人を分けているのは、いったい、どういう要素なのだろうか」

偏差値35から逆転合格し、「ドラゴン桜2」の編集のために4年間で500人以上の東大生に取材をした僕は、ずっとこの疑問を考え続けていました。そしてその中で見えてきたのは、「頭のいい人は、分解して考える能力が高い」ということです。今日はこの、頭のいい人に共通する「分解力」についてお話ししたいと思います。

「努力が報われない!」「頑張ってもなかなか結果が出ない!」ということ、よくありますよね。僕も昔はそうでした。机に向かって勉強を続けているのに結果につながらない……ということが非常に多かったです。その一方で、頭のいい友達は要領よく勉強し、最小限の努力でいい結果を出していて、「どうして自分はうまくいかないんだ、やっぱり才能がないんじゃないか」と悩んでいました。

でも今考えると、違うんです。才能の問題ではなく、単に技術の問題として、努力が結果につながらなかったのだと思うんです。

例えばこのノートを見てください。

これは、ある東大生が作っていた「分解ノート」です。自分の弱点を、いろんな観点で分解し、いったい自分がどういうポイントでつまずいているのかを考えていくものでした。

頭のいい人はこんなふうに細かく分解したうえで、目的や手段を明確にしていくのではないかと思うんです。

どんな勉強をしているときも目的が明確

東大生はどんな勉強をしているときにも目的が明確になっています。「今は、この分野・この領域・こういう場面で使える、こういう知識を身に付けるために勉強している」というものが明確で、ぼんやりと「とりあえず数学が得意になりたいな」と思って勉強してはいません。

受験勉強をするときにも、必ずと言っていいほど過去問を見て、本番を意識したうえで勉強しています。

「次の英語のテストでいい点を取りたいから、英語の勉強をしよう」ではなく、「今、英語の英文和訳の勉強をしているけど、これはもしかしたら東大入試の英語の大問4Bの勉強に相当するな。今はだいたい5割ぐらいの出来だけど、この参考書を終わらせれば8割くらいの点は取れるようになるかもしれない」という具合に、その努力が何につながるか、しっかり分解されているのです。

頭のいい人は、このように目標に具体的な数字を入れるなどして、分解を行っています。

例えば、ジムでは、ダンベルが何キロなのかとか、何メートル走ったのかとか、腕立て伏せが何回できるかとか、何キロ体重が減ったとか、数字で管理されています。そうすると、次の目標設定もしやすいんですよね。「20キロいけたから、次は30キロ!」「10回できた!次は15回!」というように、具体的な数字が目標の中に入っているからこそ、次の目標も決めやすく、成功体験も持ちやすいのです。

これはジムだけではなく、勉強でもそれ以外の分野においても同じです。数字を決め、やることを具体的にしていく。こういう分解も、頭のいい人の特徴だと言えます。

頭のいい人はほかにもいろんなものが分解されています。僕は学生からいろんな質問を受けるのですが、質問を聞いていると、だいたいその学生の学力がわかってしまうんですよね。

分解されている悩みは解決策もわかりやすい

「英語ができません」とか「数学の勉強ってどうすればいいですか?」というように漠然とした質問をしてくる人というのはたいてい、まだ勉強を本格的に始めていない場合が多いです。

逆に「英単語を覚えるときに、意味が複数ある単語を覚えられないんです」「リスニングのときに毎回聞き取るスピードが遅くて困っているんです」など、具体的に細分化され、分解された悩みを教えてくれる人であれば、たいていちゃんと勉強を頑張っている場合が多いです。

なぜなら、分解されている悩みは解決策もわかりやすいからです。「英語ができない」のように問題が漠然としているときは、解決の糸口を見つけるのは困難です。問題がぼんやりしていたら解決策もぼんやりします。

しかし分解して、「英語の中でも英単語を覚えるスピードが遅い」というように問題が具体化されれば、「なら英単語の暗記のスピードが上がる方法を考えよう」という感じで解決策も具体化できます。

そもそも「英語ってどうすればいいですか?」って聞かれても、答えられないんです。その人が本当に困っていることがなんなのかわからないから、どんな回答を提示しても意味がないわけです。だからその時点で、もう質問を1回分無駄にしてしまっているわけなんですよね。

問題を解くときでも同じです。どんな問題でも分解して考えます。パッと見たときに解けなさそうな問題があっても、すぐに「わからない」とは言わず、「どこまでならわかるのか」「どこからがわからないのか」を明確にするのです。

どんなに難しい問題であっても、日本語で文章が書いてあるなら文章自体は理解できるかもしれませんし、どんな知識を使って問題を解くのかわかるということもあるかもしれません。

たいていの場合、手も足も出ないということはほとんどなくて、手か足かは出るんです。そしてその部分から深掘りしていけば、解ける問題というのもあります。

勉強が苦手な人は「わからないところがわからない」

昔の僕をはじめとして、勉強が苦手だという人のいちばんの問題って「わからないところがわからない」という状態なんですよね。わからないところがわからないから、どう努力していいかもわからないというわけです。

だからこそ重要なのは「何がわからないのか」を分解しようと粘り強く考え抜くことなのではないでしょうか。「わからない」というのは簡単ですが、きっとその中にもまだ、「わかる」が隠されているのではないかと考えるとうまくいくことがあるのです。

「わかる」は「分ける」が語源だと言われています。理解するためには、「わからない」と「わかる」を分解する必要があるということですね。

いかがでしょうか。分解とは、物事をもう一歩進んで考えてみるという姿勢だと思います。もっと細分化して、もっと具体化して考える。そういう姿勢というものをしっかりと持ち続けていると、実はそれが結果につながる部分があるのではないかと思います。