汚染されたネット広告、大企業も関与 「バレなければ問題ない」2兆円市場の影

「飲むだけで痩せる」「毛穴の汚れがごっそり」「シミの漂白剤と話題」――市場拡大が続くネット広告で、誇大・虚偽表示が後を絶たない。自浄作用が働かず、国が対応に乗り出すほど深刻な事態となっている。

 

 関係者に取材を進めると、業界のゆがんだ構造が見えてきた。

 

■1万件以上も苦情

 

 電通の発表によれば、2020年のネット広告費は2兆2290億円で、テレビや新聞などマスコミ4媒体の2兆2536億円に匹敵するほど成長を続ける。

 

 それに比例して、生活者を欺くような広告も増えている。公益社団法人「日本広告審査機構(JARO)」に2020年度に寄せられた広告の苦情件数は約1万2000件と過去最多だった。

 

 対象は、健康食品や化粧品、医薬部外品といった美容・健康関連が目立つ。JAROは

 

「毛穴の汚れがごっそり取れる、ノーベル賞受賞成分のコスメなどとうたい、鼻の角栓の合成写真を広告に使っていた化粧品のジェル」

 

「飲むだけで痩せる、返金保証、6日分500円とあったが定期購入契約になっており、解約を申し出ても1年間継続購入しないと解約できないという健康食品」

 

と訴求していたアフィリエイト広告(成果報酬型広告)などに厳重警告している。

 

 アフィリエイト広告は、アフィリエイターと呼ばれる広告制作者が、代理店の依頼を受けるなどして、広告主の商品を記事などで宣伝する。販売サイトへの送客数や契約数に応じて、制作者は報酬を得る。

 

 矢野経済研究所の調査では、20年度のアフィリエイト広告市場は3258億(前年比5.2%増)の見込みで、4年後には4951億円に拡大すると予測する。同社は成長理由に「大手企業であるナショナルクライアントのアフィリエイト予算の拡大」「アフィリエイト市場参入企業の増加の可能性」を挙げている。

 

 アフィリエイト広告をめぐっては、消費者庁が実態調査に乗り出している。あわせて、有識者による検討会を設置し、適正化に向けた方策を年度内に取りまとめる方針だ。

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