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「縄跳び」が世界中で超売れまくる意外な理由

今、跳び縄が売れている

このところ海外で、縄跳びへの注目が高まっている。ロックダウン中には各地でジムが閉鎖され、外で運動しようにもマスクが必要では何ともやりづらい。そこで注目されたのが、自邸の室内や庭先でも取り組める縄跳びだ。アメリカでは昨年から跳び縄が飛ぶように売れており、販売元によっては売り上げが一昨年比で3倍から4倍になった。

派手なトリックを決めれば動画映えもすることから、SNSでのシェアもかなり活発になってきている。ハッシュタグ「#jumprope」が付いたインスタグラムの投稿は計100万本に迫る勢いで増えており、華麗なトリックが日々新たに披露されている。

アメリカだけでなく、イギリス、ブラジル、ロシア、パキスタンなど、あらゆる国々の人々がインスタグラムに投稿を重ねている。その完成されたスキルの数々は、誰もが小学生時代に親しんだあの体験の延長線上にありながら、もはや別のきらびやかなスポーツといった趣だ。

こうしたブームのけん引役の一人が、イギリスに住む29歳のローレン・フライメンさんだ。米CNNによると彼女は、ロックダウン中にインスタグラムで目にした縄跳び動画に触発され、自身でもトライしてみることにした。

すると実力をメキメキと伸ばし、フットワークとロープ捌きを巧みに組み合わせた技を次々にマスター。昨年4月に開設した自身のアカウントで華麗なテクニックを公開すると、フォロワー30万人を抱える人気アカウントとなった。どの動画でもまるで機械のように正確なステップを刻みながら、カメラが捉え切れないほどのスピードでロープを操る。その美しいフォームに惹かれ、自分でもチャレンジしてみたという人々も少なくないようだ。

短時間集中の運動ではランニングよりも効率的

見ても跳んでも楽しい縄跳びだが、実は子供の遊びというイメージに反し、有酸素運動としては非常に多くのカロリーを消費できる。人気のランニングも時間あたり多くのカロリーを消費できることが知られているが、縄跳びにきちんと取り組むと、その効果はランニングを上回るのだという。

健康情報を扱う米ヘルス・ライン誌は、縄跳びとランニングの消費カロリーを比較している。カロリー消費量は運動の強度で異なるが、標準的またはそれ以上の強度で運動をする場合は、縄跳びを選んだ方が効率が良いのだという。例として、体重68キロの人が10分間運動する場合、ランニングでは125キロカロリーを消費する。一方、縄跳びでは140キロカロリーだ。同じ時間運動しても、縄跳びの方が1割ほど高い効果を得られる計算だ。

最終的なカロリー消費は継続時間をかけて決まるため、一概に縄跳びの総カロリーが多いということではない。ランニングの方が長時間続けられるという人ならば、そちらを選ぶのも手だ。一方、毎日限られた時間で成果を出したいという場合には、縄跳びが強い味方になりそうだ。

有酸素運動としての効果も高く、CNNに寄稿するダーナ・サンタス氏は、「真に効率的な有酸素運動を探しているなら、縄跳びがまさにそれだといえるでしょう」と述べている。さらに跳躍運動は、骨を丈夫にする効果にも優れている。日本人科学者らによる2005年の研究では、10分間の縄跳びが30分間のランニングに匹敵するほど骨密度を向上させることが確認された。

また、縄跳びは跳躍がメインの運動ではあるものの、脚以外に肩周りの筋肉をも鍛えてくれる。ニューヨーク在住のあるフィットネス・コーチは米CNETに対し、「縄跳びは、ふくらはぎ、大腿四頭筋、大臀筋を強化し、また、肩、腕、体幹を鍛えます。それにもちろん、ロープを跳んでいるときに楽しくない人なんていますか?」とコメントし、ぜひ楽しんで実践するよう勧めている。

無心で跳べるのが魅力

肉体面のほかに、気持ちの面でもメリットがある。CNNは、たとえばランニング中に人生の問題などが頭をよぎってしまう人がいるが、縄跳びで難しいトリックに集中している際は物事を考える余裕がまったくなく、技に集中できるのだと紹介している。悩みを忘れ、無心で跳べる爽快感があるようだ。

一方、縄跳びのデメリットとしては、基本的には同じ場所で跳び続けることになってしまう。景色の変化が何よりも楽しみだという人は、ランニングの方がモチベーションを保ちやすいかもしれない。

縄跳びにチャレンジしたくなった方は、自分に合った跳び縄を選ぶと同時に、シューズにも気をつけたい。ワシントン・ポスト紙は、ランニング用のシューズはかかと部分のサポートに特化したものが多いため、縄跳びには向かないとしている。クッション性が高く土踏まずの負担を軽減してくれるものが良いようだ。また、トレーニングの環境選びも大切だ。硬いコンクリートの上は避け、アスファルトかフローリングなどの上に、縄跳び用のマットを敷いて行うのが理想的だ。

もちろんエクササイズには好みもあるため、一概にランニングをやめて縄跳びをすべきというわけではない。ただ、子供時代に親しんだ縄跳びにもう一度夢中になれれば、苦労なく継続することができるかもしれない。暑くなるこれからの時期、室内や公園の木陰などで続けられることも大きなメリットになりそうだ。