いざ20歳の人に話をしようとすると、自分が20歳だったころの経験談を自然にしそうになりますが、つい話が美化されたり、現代とは異なる時代背景だったりと、今の大学生にはまったく響かない話にもなりかねません。
そこで、20歳の自分に伝えたいこと、ということをぜひ念頭に置いていただきたいのです。
この方法には、3つのメリットがあります。
例えば、自分が20歳のときにやっていた話をした場合、当時の風潮である「気合・根性・努力が大切だ」という話になりがちだとします。しかし、現在の自分からのメッセージにすると「楽しい、面白い、ワクワクを大切してほしい」というメッセージに変わることがあります。
このように単に過去の基準で語る昔話よりも、現代基準の視点で語られるほうが響くことでしょう。
20歳の自分へのアドバイスであるため、目の前の大学生に対する直接メッセージにはなりません。直接のメッセージにすると、つい「ああしろ、こうしろ、こうすべき」という内容になりかねないでしょう。
また直接、子どもへのメッセージでなくても、一般化した話も注意が必要です。例えば、「今の若者はやる気が足りない。だからすぐに辞める」と「若者」という言葉を使った場合、その言葉の中に自分(子ども)も入っているため、説教の一種と受けとられ、拒絶される可能性もあります。
「20歳の自分へのメッセージを出してください」と言われたら、自分の20歳のころを思い出すことでしょう。さらにその過去の自分へのメッセージであれば、足りなかったこと、欠けていたことに意識がフォーカスされ、自分の至らない過去を見つめることで、目の前の子どもの気持ちが理解できることでしょう。
以上のように、自分の子どもと同じ年齢のときの自分へのメッセージを作ることは、とても有意義なことだと考えています。
20歳の自分への10のメッセージ
では、ここで参考までに、筆者が大学生に伝えた「20歳の自分へのメッセージ」がどのようなものであったか、次に挙げておきますのでご参考ください。20歳のころの筆者といえば、学ばない、働かないといういわゆるニート状態で人生のどん底にいました。自己肯定感は低く、行動しても「どうせ無理」と思い、友人たちが皆、輝いて見えていました。
働くようになると時間がなく、自由に動けなくなる。海外、国内移動も含め見聞を広める(現在ではコロナで移動が制限されているが、その中でもできることもある)。人からイベントに誘われたら行ってみるなど、すべての経験がその後につながるでしょう。
有名、無名かかわらず会ってみる。イキイキと日々活動している人から受ける影響は計り知れない。講演でも、書籍でも、間接的に“会う”ことでもいいでしょう。
長く付き合える友人がいることは最高の財産。自分が困ったときに助けてくれるのは友人。困った友人を助けてあげられるのは自分。友人を大切にすると人生がより厚みのあるものになるでしょう。
自分の長所とは、いつまでやっていても飽きないことや人から称賛されたり、褒められたりすることに入っている場合が多い。もし、長所がわからければ(1)を通じて見つけていくといいでしょう。
人の意見を最初から否定しないほうがいい。意見が違うことは学びにつながる。だから、とりあえず参考にしてみよう。しかし参考にするけども、自分の頭で考えた意見も持つといいでしょう。
「継続は力なり」は正しい。
言葉の力は偉大。どのような言葉を使うかで人生が決まる。マイナスよりもプラスが多いほうがいいでしょう。
はじめから応援を期待するのではなく、まずは自分で動き出す。すると周囲の様子が変わってくるでしょう。
人が喜んでくれることに悪いことはない。人の喜びが自分の喜びになる。これが最高の境地であり、天職につながる場合もあるでしょう。
動いた人には必ず、何かチャンスがやってくる。行動しながら考えよう。
率直に、過去の自分に語りかけるように
以上が、筆者が20歳の自分に伝えてあげたいことです。20歳という年齢は一般的に社会に出る前の準備期間にあたることが多いため、今後のキャリアや人生に関わる内容が多いです。これらのメッセージ項目は発信する側の立場や経験によって、さまざま変わることでしょう。あくまでも自分の過去を振り返って、率直に過去の自分に語りかけるように話をされるといいでしょう。
もちろん、このようなメッセージを大学生が聞いても、実際に経験をしていかないとわからないことも多いかもしれませんが、何か1つでも心に残り、指針になる場合もあります。親が大学生の子どもにできる話の1つとして、お役に立てばと思います。
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