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若者たちが複数の「SNSアカウント」を持つ心理

もうすぐ春。新入社員を迎える会社も多いことでしょう。しかしコロナによる飲食店の営業自粛もあり、なかなか社員同士が飲み会の席で打ち解けることができないのも現状です。

今年入社する多くは90年代後半生まれで、「Z世代(1996~2012年生まれ)」にあたります。彼らは生まれたころからネットが普及している、いわゆるデジタルネイティブ世代であるとも言われています。

今までの世代とは異なる環境で育ってきたZ世代。気軽に食事も誘いづらいなかで、どうやって親交を深めていけばよいのでしょうか。

SNS上でのコミュニケーションが主流のZ世代

リアルでのコミュニケーションの機会は減っているかもしれませんが、会社内では社員同士のLINEの交換や、Facebook、Instagramのフォローなど、オンライン上で交流しているケースもあるかもしれません。

しかしFacebookやInstagramを、いきなりフォローなり申請をしてしまうと、「上司にプライベートをのぞき見られるのは嫌だな」と思われてしまいます。そのため、もし部下とSNSツールで気軽にやりとりしたい場合は、信頼関係を築いてからフォローをすることが重要になってきます。

ここで、Z世代が頻繁に利用するInstagramを例に、彼らのSNSの使い方の1つを説明しましょう。

Z世代がInstagramの中でも特に利用する機能が『ストーリーズ』です。ストーリーズは写真を投稿すると、24時間で投稿そのものが消える仕組みです。そのため通常の写真・動画の投稿よりもハードルが低く、ランチを食べに行ったことや友達に会ったことなど、Z世代は日常のちょっとしたことをよくシェアしています。

そんなストーリーズには、自分がフォローした人の投稿を非表示にできるミュート機能だけではなく、ブロックをせずともストーリーを見せたくない人を設定することができたり、親しい友達という機能を使って公開範囲を設定することもできます。

Z世代はこれらの機能を巧みに使い、自らのコミュニティを形成しています。例えば、休日に仕事のことを考えたくないとなったら、会社の人にストーリーが見られないよう適用させるのです。

また、Z世代の間ではアカウントを複数個持ち、使いわけることが当たり前になっています。身近な人としかつながらない「リア垢」や「裏垢」、自分のヲタク活動を投稿する「ヲタ垢」などと呼ばれる複数のアカウントを使いわけて、SNSでの交流を楽しんでいます。

ここまでZ世代のSNSの使い方を説明しましたが、申請やフォローを気軽にすることは控えたほうがいいということがわかっていただけたと思います。

また、InstagramやTwitterなど自分が許可した相手にのみ自分のことをフォローできる、「鍵垢」と呼ばれるアカウントは、特に注意が必要です。プライベートなアカウントをフォローすることはハードルが高い行為です。

複数のアカウントを使いわけることに慣れているZ世代だからこそ、誰とでも繋がりが可能なアカウントがあるかを確認してみてもいいかもしれません。

Z世代とのSNS上での適切な距離感

また、先ほど紹介したストーリーズは、誰が自分の投稿を見たのかがわかる機能が備わっているため、ストーリーズに限らず、部下の投稿をフォローしていない状態で見にいくのもやめておいたほうがよさそうです。

もし、部下のアカウントを見つけた場合には、『知り合いかもしれない』や『おすすめ投稿』に出てきたんだよねというスタンスで、フォローして大丈夫なアカウントか確認してみましょう。

そこからフォローにつなげることができたら、1歩踏み出して会話につなげることもできます。ストーリーズを見ることができるよう設定してくれていたら「ストーリーズ見たよ!そのお店気になってたんだけどおいしかった?」や「他にもおすすめ教えてよ!」といった会話につなげてみましょう。

あくまで直接話しかけることが重要です。ダイレクトメッセージで話しかけると警戒感を生みかねませんので注意が必要です。社内のコミュニケーションの1つのネタとして活用してみましょう。

コロナ禍で、飲み会に誘いづらいだけでなく、近年ではテレビなどで会社の飲み会に参加したくない若手社員が多くいるという内容の放送がされることもあります。

実際に会社の飲み会が苦手という若者が増えているため、コロナが収束した後でも注意が必要です。

新たな世代の登場、新しい生活様式の中、コミュニケーションも新たな方法が求められます。そうした中では、SNSとの上手な付き合い方がカギになってきそうです。