オンラインで「コミュニケーション不全」になる理由
チャットやメールで依頼したが、いつまで経っても返事がなくて「イライラ」。
ようやく送られてきた文章に「もやもや」。
こんなとき、どのような対応をしていますか?
「イライラ」や「もやもや」を放置してはいませんか?
チャットやメールでのコミュニケーションでは、「一連のやり取りの中で、双方の感じ方がまったく違う」ことがよくあります。
読み手をイライラ、もやもやさせていることに気づかず、
「自分は正しく伝えた」
「自分は好意的に伝えた」
「自分の文章が人を不快にさせるはずはない」
と思い込んでいる書き手もいます。
ひとたびすれ違いが起こると、信頼関係を回復するのには時間がかかってしまいます。
こうしたコミュニケーションミスを防ぐのが、文章における「相手への配慮」です。
スムーズにやり取りを進められているときは、意識しなくてもお互いに配慮しあえています。
しかし、テキストコミュニケーション(文章によるコミュニケーション)が増え、お互いに顔を合わせる機会が減ると、対面でのコミュニケーションとは異なる配慮が必要です。
ここでは、文章のプロの多くが実践している「テキストコミュニケーションのコツ」を2つ紹介します。
相手が難解に思わない言葉を選ぶ
まず1つ目は、「わかりやすい言葉」を選ぶことです。
わかりやすい言葉とは、
「中学生でもわかる言葉」「日常的に使われている言葉」「耳慣れた言葉」のことです。
中学生を目安にしている理由は、「中学校までは義務教育で、誰もが一定水準の教育を受けている」からです。
中学校までに習った言葉を使い、中学校までに習った知識があることを前提に文章を書けば、オンラインのやりとりでも、きちんと伝えることができます。
例えば、メールで次のような文章を送ったとします。
>プレゼンスを発揮していきましょう。
もしも相手がこれらの言葉の意味を知らず、一つひとつ調べなければいけなかった場合、大きなストレスを与えかねません。
語彙力のレベルは人それぞれであり、相手がどの程度、その単語になじみがあるかはわかりません。
これは極端な例ですが、気づかないうちに、「わかりにくい文章」を書いている可能性があります。
わかりやすい文章を書くには、
「自分が知っているからといって、相手が知っているとは限らない」
という前提に立つことが大切です。
メールやチャットに限らず、提案書や報告書をつくる場合も共通です。
2つ目は、「文章は必ず推敲する」ことです。
推敲とは、書き終わった後に、よりよい文章になるように、練り直すことです。
推敲の目的はおもに4つです。
・ 文字(文)を付け加えたり、削ったりして読みやすくする
・ 情報に間違いがないかを確認する
・ よりわかりやすい表現に差し替える
忙しい中でビジネス文書をつくったり、メールやチャットでやり取りしていると、「書き終わった文章を見直すことなく、そのまま相手や他人に見せてしまう」ことも少なくありません。
推敲を怠った結果、重要な数字や人名が間違っていたり、論理展開が破綻していたりすることもあります。
文章術の書籍の多くが、推敲のポイントとして、
「時間を置いて読み直すこと」
を挙げていました。
メールやチャットのやり取りで、毎回、時間を置くのは難しいかもしれません。それでも可能な限り時間を置いて、客観的に見直すことで、文章の乱れを改善できます。
文章への配慮そのものが「相手への配慮」になる
・ 文章は必ず推敲する
という「2つの配慮」を紹介しました。
この2つは、文章の「書き手」が、「読み手」を強く意識して、「読み手」のために行う作業です。文章への配慮は、じつはそのまま、相手への配慮、相手への気づかい、相手へのやさしさでもあります。
ビジネスでの文章は、言葉の巧みさや美しさ、歯切れのよさよりも、「わかりやすさ」や「正確さ」が重要です。
オンラインのコミュニケーションが増え、相手の人となりを感じられる機会が減っている今だからこそ、わかりやすさや正確さを意識して作成された文章に、多くの人は「丁寧さ」や「親切さ」、「信頼感」を覚えるのではないでしょうか。
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