コロナ感染で「自宅療養に必要なもの」リスト

新型コロナで自宅療養しなければならないときに

新型コロナウイルス感染症患者については、これまで一律に「入院」とされてきましたが、2020年10月24日から「入院」の対象は、

▼65歳以上の者
▼呼吸器疾患を有する者
▼臓器等の機能低下が認められる者
▼免疫機能低下が認められる者
▼妊婦
▼重度・中等症の患者
▼医師が「入院させる必要がある」と認める者
▼都道府県知事が「感染症の蔓延防止のために入院させる必要がある」と認める者
▼蔓延防止のための事項を守ることに同意しない者

に限定することと変更されました。これら以外の人には、宿泊療養あるいは自宅療養を求めるということです。さらに東京都は、医療提供体制がひっ迫していることを受けて、一律入院とされてきた65歳以上の高齢者であっても70歳未満で基礎疾患のない人は、ホテルなどの宿泊施設での療養を検討していくことになりました(2020年12月17日現在)。

軽症というのは、酸素の吸入を必要としない場合ですので、実際には38℃以上の熱や激しいせきなどのつらい状態の人も軽症として宿泊・自宅療養せざるをえない状況になることがあります。

 

38.5℃以上の高熱でせきもひどく、自分では「重症」と思って病院に行ったのに、「軽症」と診断されてしまった、という話があります。これは、2020年10月現在に示されている重症度分類は、決して症状や熱だけで分けられるのではないためです。重症度を分ける基準は主に「酸素飽和度」。これは、血液の中にどれだけ酸素が含まれているのかを示すもので、正常値で96~99%です。

 

これが96%以上だと「軽症」、93~96%で「中等症Ⅰ」、93%以下で「中等症Ⅱ」となります。「重症」は酸素飽和度だけではなく、人工呼吸器が必要か、またはICUで濃密な治療が必要かなどで判断されます。このように、酸素飽和度が96%を下回らない限りは、いくら高熱であっても「軽症者」に分類されます。

この酸素飽和度は、パルスオキシメーターという機械で測定が可能です。2020年10月に施行された、入院対象者に対する政府方針の変更で、高熱があっても必ずしも入院できるとは限らなくなりました。つまり、発症してすぐに入院というわけではなく、都道府県が用意した施設での宿泊療養、もしくは自宅療養が必要になることもあるのです。そのため、容態の変化を測るパルスオキシメーターを自宅に用意しておく必要があるかもしれません。

軽症者は特別な治療をしなくても回復していくことが多いとされますが、マスクの着用や手洗いを励行しましょう。また、人との接触はできるだけ避け、同居家族がいる場合は生活空間を分けます。また、軽症と診断されても容態が急変することもあるので、油断してはいけません。

中等症は2つに分けられます。「中等症Ⅰ」は息切れ、肺炎所見があっても呼吸不全がなく、「中等症Ⅱ」は酸素投与が必要で呼吸不全の場合です。どちらの場合でも肺炎の症状がみられます。

そして、65歳以上の高齢者や糖尿病、高血圧、肝硬変などの基礎疾患を持っている人、骨髄・臓器移植をした人は、重症化のリスクがあります。また、妊婦や喫煙歴のある人などは重症化しやすい可能性があるといわれています。注意してください。

自宅療養で必要なものとは…

もし感染してしまったら、買い物に出ることはできません。ここでは、自宅療養をしなければならない場合に、どのようなものが必要になるのかについて考えます。

まず、食料品です。食欲がなくても食べられて、必要なカロリーが摂取できるものが必要です。レトルトのスープやおかゆ、ゼリー飲料、チョコレートなどもあったらよいでしょう。スポーツ飲料も必要です。また、少し食欲が回復したときのために、インスタント食品や缶詰なども用意します。

次に、二次感染防止のためのマスクやゴーグル、ビニール袋。また、軽症で自宅療養するには、体温計はもちろん症状の重症度を分ける酸素飽和度を測る、パルスオキシメーターを用意しておいたほうがよいでしょう。

そのほかは、普段使用している風邪薬、1日に1人最低2ℓを推定した飲料水、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどが必要です。普段より消費量が多いことも考えておきましょう。また、地震対策の延長としても用意しておくと便利です。

自宅療養備品リスト
≪日用品≫
☑ティッシュペーパー
☑トイレットペーパー
☑生理用品
☑せっけん、アルコール除菌スプレー
☑塩素系漂白剤
☑使い捨てマスク
☑使い捨て手袋
☑レインコート
☑ビニール袋(ゴミ袋サイズも)
☑体温計
☑ゴーグル(もしくはメガネ)

≪食料≫
☑主食(お米やうどん、シリアルなど食べやすいもの)
☑菓子類(とくにチョコレート)
☑ゼリー状栄養補助食品
☑レトルト食品、インスタント食品
☑缶詰(果物など)
☑冷凍食品(火にかけるだけのうどんなど便利です)
☑経口補水液
☑スポーツ飲料 etc……

そのほか、衣類や薬等、自宅療養のために事前に備えておきたい「備品リスト」は『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』に掲載してあります。

家族を看病するための鉄則――初期対応が大切

家族が感染してしまったら、緊急入院以外は自宅で安静にして療養することになります。ひとり暮らしの場合は自分で行うことになりますが、家族と同居している場合には、ほかの家族に看病してもらうことになります。家庭内感染を防ぐためにも、接触者の数を減らすため、看病する人はできるだけ1人に決めましょう。

看病をする人は感染に気を付けた服装をする必要があります。新型コロナウイルス感染症は、接触感染・飛沫感染・エアロゾル感染で感染すると考えられているので、それぞれに対応した準備をします。

まずは、接触感染を防ぐための手袋をはめます。これはビニール製のもので、使い捨てできるタイプがいいでしょう。続いて、飛沫・エアロゾル感染を防ぐために、マスク・ゴーグルを着用し、ビニールのカッパのような全身を覆うようなものを着ます。

なによりも「初期対応こそが家庭内感染防止に大きくつながる」ということを意識し、丁寧な対処が必要です。

ウイルスが付着した手指を介して、いす・ソファ・リモコンなど家庭内のあらゆる場所に知らない間に触ることで広がっていきます。また、換気が不十分だと飛沫から水分が蒸発してマイクロ飛沫となって空気中を漂います。その飛沫を吸い込むエアロゾル感染もあります。空気を完全に入れ替えることが大切です。そのため、感染者が出た時点で感染者が触れた場所やものはすべて消毒や洗濯を行います。

共有スペースでの感染症対策

同居家族の中に感染者が出た場合、居住スペースを分けることが大切ですが、トイレやお風呂など難しい場所もあります。

最後に、自宅療養を行ううえで、感染症拡大を予防するためのポイントをまとめました。

①トイレ

トイレのフタを開けたまま水を流すと、細菌・ウイルスが舞い上がって空気中に漂う可能性があります。そのため、トイレのフタは閉めて流しましょう。

②ゴミ捨て

ゴミの捨て方で大切なのは、「ゴミに直接触れないこと」「ゴミ袋はしっかり縛って封をすること」「ゴミを捨てた後は速やかにせっけんで手を洗うこと」、この3つです。以上を守ることで、ゴミを扱う市町村の職員や廃棄物処理業者の感染防止対策にもなります。

③洗濯

感染者が触れるもの(パジャマやシーツなど)は必ず1日に1度は洗濯します。洗剤は一般的な家庭用のもので大丈夫ですが、手袋とマスクをつけましょう。また、熱に強い素材の場合に限りますが、鼻水などの体液や便で汚れた衣服やリネンなどは、80℃以上の熱湯で10分間消毒をしてから乾燥させるとなおよいです。

④換気

感染者のいる部屋はもちろん、リビングやトイレのような共有スペースやほかの場所も換気しましょう。頻度としては1時間に2回以上行います。窓が2方向あれば、どちらも開けて風が通るようにするとより効果的です。冬など寒い時期に窓を開けるのはつらいですが、換気扇がもしあれば換気扇でも大丈夫です。また、早く換気を終えたければ、扇風機などを使って風を送るという方法もあります。

⑤スイッチ

洗浄、消毒をするのはもちろん、できる限り手は使わないのがよいでしょう。ひじなどのあまり使わない部位でスイッチのオンオフくらいはできます。

⑥食事

 

もし家族にひとりでも感染者が出たら、大皿料理を出すのはやめましょう。患者だけが感染しているとは限りません。鍋などではなく、ひとりずつ個別の皿で完結するような料理が好ましいです。