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神社に続出「借地権マンション」が儲かる理由

私は借地権の自宅マンションを住み替えて、1億円の値上がり益を得た。その手法を紹介しよう。

通常のマンションは購入者が土地を所有する(所有権を持つ)。これに対して、借地権のマンションは借り物の土地に建つ。借地権には普通と定期の2種類ある。定期借地権は、原則一定期間後に建物を壊して更地で土地を返さなければならない。

その期間は50年以上なのでかなり長いものの、期間経過後は建物価値がゼロなので、50年なら100%÷50年=2%の価値減少が確定していることになる。これに対して、普通借地権は土地を返す予定がないので、こちらの方が資産価値は高くなる。

この連載は今回が初回です

借地権のマンションは所有権のマンションより資産性がないように思われがちで、購入する人はたいてい躊躇する。買った直後から値下がり幅が大きいようなら、買うに買えないだろう。

それを緩和するために、所有権と比較して安く価格設定がされるのが一般的だ。価格にひかれて集客はできても、資産性の懸念から売れ行きが悪くなりがちだ。特に新築マンションは一時期に大量の住戸を販売するので、煮え切らない顧客は多い。

だが、それだからこそ借地権マンションはチャンスなのだ。実際、ある借地権マンションで売れ残っていた10戸ほどを私がコンサルする法人がまとめて買って、既に50%以上値上がっている。

 

借地権マンションに土地を「貸す側」の論理をおさえておこう。最近目立つのは、神社だ。著名な例を挙げておこう。

・東郷神社×パークコート神宮前
・成子天神社×パークタワー西新宿エムズポート
・赤城神社×パークコート神楽坂
・下鴨神社×J.GRAN THE HONOR 下鴨糺の杜

下鴨神社に至っては世界遺産である。こんな由緒正しく、神聖な場所でなぜマンションのような景観だけでも問題になりそうなものが建つのか?それは財務事情にある。神社はお賽銭だけではやっていけないのだ。敷地と建物の維持・管理・建替えには多額のお金がかかる。その捻出には持てるもので換金できるものは土地しかないのだ。その土地を手離せないからこそ、借地として有効に活用しなければならない。

幸い、これらの神社は立地がいい。最寄り駅は、上から原宿、西新宿、神楽坂になり、京都は誰もが知る観光の中心地である。

神社以外の借地権マンション事例では、大使館や病院や会員制社交クラブなどもある。これに加えて、役所の事例が出てきた。渋谷区役所がそれだ。役所の立地はたいていその地域の中心地にある。いずれのケースも土地を手放すことはできない程の好立地ということだ。

2.2倍に値上がり!伝説の借地権マンションも

過去に新築価格から値上がった借地権マンションはたくさんある。その中でも代表的なものは、シティタワー品川だろう。敷地の持ち主は東京都で、販売価格を都議会で決めてから相場が上昇し、販売時には超格安になってしまった。

モデルルームもなく、写真ひとつない殺風景なホームページでも、最寄り駅が品川で、アドレスは港区、80㎡台で2000万円台から購入できるとあって応募は殺到した。総戸数828戸に平均倍率が17.65倍になり(申込者が14614人)、購入者は5年間自己居住することが条件になった。5年後に売却された価格は少なくとも50%以上値上がりし、今では値上がり率は118%になった。つまり、築10年にして元の価格から2.2倍になったのだ。

借地権マンションの値上がりの王道のパターンは、稀少立地だ。例えば、フランス大使館の敷地に建つプラウド南麻布は築5年が経過して、新築時よりも46%値上がりしている。住戸の向きは森のような大使館側と前面道路側に分かれるが、大使館側は大きく値上がりしている。

稀少な一等地で格別な眺望が手に入る場合、借地権であるかどうかは意味をなさなくなる好例だろう。不動産は唯一無二なので、そのロケーションと景観は代替するものがない場合に価格競争力が相場で語ることができなくなるものだ。

 

借地権マンションの人気は都心ほど顕著である。首都圏のマンションを調べると、値上がり率の高い上位6区の平均は28%になる。千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区・品川区の6つだ。その意味で、都心とその周辺の6区が最も確実性が高い立地と言えよう。

これらの行政区を除く都区部では中古値上がり率が平均-3%と31%もの差がつく。都区部以外は平均-13%になり、借地権マンションは都心以外を考えない方が得策だ。

値上がりしやすい借地権マンション「7つの法則」

中古になって値上がる新築借地権マンションは過去の実績から法則性がある。

まずは、先ほど書いた「立地」だ。都心6区に絞ろう。これははずせない必須条件だ。

条件2は、大手の売主に限ろう。目安はメジャー7(三井・三菱・住友・野村・東京建物・東急・大京)だ。条件1と合わせて、平均32%の値上がり率となる。

条件3は、駅からの徒歩分数で5分以内。条件1の生み合わせで平均29%の値上がり率となる。

条件4は、大規模物件の方がいい。大規模とは総戸数が200戸以上だ。条件1と合わせて、平均41%の値上がり率に跳ね上がる。

条件5はタワーを選ぼう。条件1と合わせて、平均52%の値上がり率で大規模以上になる。

条件6は定借の場合の期間だ。これは長い方が資産価値は落ちにくい。50年より60年、60年より70年の方が減価するスピードが遅いことは想像に難くない。実際、マンションの法定耐用年数は47年であり、期間は50年あれば充分ではある。普通借地権なら、無期限に近いので尚いい。

ここで、「50年後は日本の人口が減っているから」と言った発言は意味がない。借地権に一生住めとは言ってない。住む期間は10年程度でいい。その後は世帯構成も変わっているから引っ越せばいい。この期間であれば、売るのに定借期間が問題になることはない。

条件の7つ目は割高で買わないためにも価格を検証しよう。その方法は、周辺の中古事例と比較して割安と判断できると「お買い得」ということになる。
 7つの法則をまとめると、以下のようになる。この「7つの法則」をなるべく多く守ることが成功への近道になる。

【7つの法則のまとめ】
①都心6区
②大手売主
③駅徒歩は5分まで
④大規模
⑤タワー
⑥定借の期間が長い
⑦周辺中古事例より割安

これの意味するところは、借地権マンションと言えども、都心好立地で大手売主が手がけた物件の場合、所有マンションと同様の取引が行われているのが実態であるということだ。私はこの法則を見つけて、大胆に自宅投資をしているに過ぎない。

現在分譲中のおすすめ新築借地権マンション

ここだけ読むではないぞ!

上記の法則を満たしている新築借地権物件はそこそこある。しかし、その中でも推奨できる物件は以下の3つだけだ。借地権物件はどれもいい訳ではない。その際の見極め方は、上記①~⑥が決める毎年の予想下落率と⑦の価格のリーズナブル度で決まる。

前者は過去の同様の物件から「儲かる確率」というのを算出し、後者は「沖式新築時価」と言って周辺の中古成約事例から適切な新築価格を算定している。この2つの数字は私が主宰するマンションの価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員のみに開示しているので、このコラムでは物件名だけにしておく。

ブリリアシティ西早稲田
ブランズ愛宕虎ノ門
ザ・パークハウス市谷加賀町レジデンス

これら3物件は上記の多くの条件を満たしている、今年の目玉物件だ。これが竣工する折には中古価格は値上がっているはずだ。それはこのコラムで機会があれば検証してみようと思う。儲かる物件は買いそびれたら、あとの祭りになるだけだ。