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若者たちがハマる「タピオカの次」に来たブーム

日本ではかなり長い間、タピオカブームが続いてきましたが、新型コロナウイルスの影響でここ数カ月、たくさんのタピオカ店が苦境に陥っているようです。

タピオカの聖地と呼ばれた原宿でも、たくさんのお店が閉店し、その中にはゴンチャ(貢茶)、ココトカ(CoCo都可)といったコロナ前は行列が絶えなかった大手のお店も含まれているようです。

さて、こうしたコロナによる「若者のタピオカ離れ」が加速するなか、若者たちはタピオカニーズをほかで満たそうとし始めているようです。現役大学生たちのレポートをご覧ください。

「ネクストタピオカ」を求める若者たち

2019年をピークに女子高生を中心として若者の間で大ブームとなったタピオカ。しかし今、街中に見られたタピオカ屋へと続く行列はほとんど見られなくなり、閉店するお店も続出している。タピオカブームも終焉しつつあるのが現状と言えるだろう。

その背景には、飽きもあるだろうが、自粛期間をきっかけとした若者の間でのタピオカ離れとほかのドリンクとの出会いという側面もあるかもしれない。

タピオカ専門店のドリンクに慣れ親しんできた若者には、コンビニの類似商品ではちょっと物足りない――。そうしたなか、若者の間では自粛期間中、自宅でカフェで提供されるようなドリンクやフードを手作りする「おうちカフェ」がブームとなった。

例えば韓国発祥のダルゴナコーヒーや淡色ゼリーなどだ。そうして、話題性のあるドリンクが続々と誕生し、「タピオカになぜあんなにハマっていたのかわからない」といった現象が多くの若者の間で起きている。

それでは、今若者たちは何にはまっているのだろうか。「ポストタピオカ」を求める若者の間で話題となっている4つのドリンクを紹介する。

 

1. sonnaバナナミルク

若者の間で今話題になっているドリンクの1つが、「sonnaバナナミルク」だ。賞味期限20分というフレッシュさを売りにするバナナジュース専門店「sonna banana」とセブン‐イレブンのコラボ商品だ。「マツコの知らない世界」で取り上げられ、Twitterを中心とするSNSで話題になったことなどから人気に火がついた。

友達との会話のきっかけにも

東京・沖縄の4店舗でしか味わえなかった商品が、コンビニで発売されたのは6月23日から。店頭で買える商品同様、バナナ3本分の食物繊維が配合されており、砂糖不使用と健康面にも配慮されているという。完熟バナナピューレをそのままドリンクにしたこだわりから生まれるどろっとした食感も特徴だ。

都内私立大学に通うSさん(女性)によると「近所のコンビニにこのドリンクを見かけると、もともと買う予定がなくても気軽に買ってしまう」と語っていた。友人ともう少しだけ話がしたいときに買って誘ったりするという。

2. わらびもちドリンクシリーズ

「わらびもち」を飲み物に入れた商品も、若者に人気だ。

5月末にファミリーマートで発売された「わらびもちは飲みものです。」は、ネーミングが若者の心をつかみ、SNSで大きな反響を呼んだ。セブン‐イレブンでも「わらび餅抹茶ラテ」が販売され、スターバックスにおいても「わらびもち追加」が新たなカスタマイズとして利用できるようになっている。

写真を提供してくれた都内私立大学に通うYさん(女性)によると、「バイトの休憩時間とか、ご飯を食べる余裕がないときは、お腹にたまりそうで、疲れを癒やすタピオカをよく買っていたが、今はこれを買っている」と教えてくれた。ドリンク1つで腹持ちするという点で、このドリンクも若者の胃と心をつかんでいるようだ。

名前のインパクトと果肉の美味しさが人気に

 

3. めっちゃ○○ですシリーズ

めっちゃ〇〇ですシリーズは、ファミリーマートで展開されている飲料シリーズだ。6月9日に販売されたシリーズ第1弾、「めっちゃメロンです。」が、若者の中で大きな話題となった。

角切りになった果肉がドリンクの中に入っており、メロンやバナナといった、あまり果肉入りドリンクでは見かけないものがシリーズとして登場するもの珍しさがある。

前出の大学生Yさんは、「フルーツ系のドリンクは、ほかのバニラやチョコレート系のドリンクに比べて重すぎず、新しい商品でも挑戦しやすい」と話してくれた。

また、都内の私立大学に通うSさんも「最初は名前が面白くて買ってみたけど、想像よりも美味しく、果肉の食感もよくて、話題になる理由がわかる」と語ってくれた。名前のインパクトはもちろん、話題性に見合った果肉の食感や美味しさがあることで若者にうけたようだ。

4. ダルゴナミルクティー

「ダルゴナコーヒー」や「ダルゴナミルクティー」などのダルゴナと冠の付くドリンクが話題だ。これは、好みのコーヒーやお茶などのドリンクの上にダルゴナ(日本で言うカルメ焼き)をのせた飲み物である。青山に日本1号店として今年3月にオープンした「Cha Aoyama」では、「ダルゴナミルクティー」を販売しており、外で購入できるダルゴナドリンクとして話題となった。

写真を提供してくれた都内の高校に通うAさん(女性)は、「少し前におうちカフェでみんながダルゴナコーヒーを作ってインスタに載せていて、ダルゴナという言葉だけで気になります。コップの下のほうにシンプルなロゴがあるのも斬新でかわいい」と語ってくれた。

ダルゴナドリンクは、コロナによる自粛生活のなか、若者たちの「おうちカフェ」の定番ドリンクといっていいほど、爆発的な人気となった。

このように、タピオカブームが終焉する一方で、実にさまざまなドリンクがブーム化している。若者はタピオカには飽きたが、ほかのドリンクを積極的に求めていることがうかがえる。まだタピオカほどのムーブメントを起こしているドリンクは出てきていないが今後、「ポストタピオカ」ドリンクが出てくるかもしれない。

原田の総評:ネクストタピオカの条件は?

コロナによる若者のタピオカ離れのレポートはいかがでしたでしょうか。

長く続いたタピオカブームですが、コロナ前から若者たちの間でも若干飽きを感じる人も出始めていました。しかし、高校や大学などの帰りに、友達とタピオカ屋に並んでタピオカを飲む、というのが習慣のようになっていた人も少なくありませんでした。

ところが、コロナにより大学に行かなかったり、外出を自粛したり、友達と会う機会を減らしたり、並ぶという行為自体を控えたりするなかで、若者の間でタピオカ離れが起こってきているのです。

では、ネクストタピオカの条件とは何か。学生が集めてくれた事例から想像すると、「腹持ち」と「映え」かもしれません。タピオカがこれだけ長い間、若者たちの支持を集めてきた理由に、「腹持ち」と「映え」があると思いますが、まさにこのタピオカが持っている2つの強みを備えた飲料が、ネクストタピオカの候補に挙がっていることがわかります。

苦境にあるタピオカ店にはコロナに負けずにぜひ頑張っていただきたいと思うとともに、コロナという大ピンチを逆に大きなチャンスに変えるべく、長く続いたタピオカブームの次のブームが生まれ、冷え込んだ消費が活性化するチャンスになることを期待します。