「口呼吸」続ける人が知らない超ヤバすぎる弊害

口は呼吸器官ではない!

あなたはテレビやスマホ画面を眺めているとき、無意識に口が開いてしまってはいませんか? 口呼吸は、疲労感・アレルギー・肌荒れ・老け顔・虫歯・口臭につながります。次のリストで2つ以上あてはまるものがあれば、口呼吸が習慣化している疑いがあります。ぜひチェックしてみてください。

<口呼吸チェックリスト>
□前歯が突き出ている
□いびき、歯ぎしりをしているときがある
□口角が下がっている
□アゴが細い
□目の下にクマがある
□唇がよく乾く
□顔が明らかに左右非対称

口呼吸がトラブルを起こすのは、口は本来呼吸器官ではないからです。唇は口に入れた食物がこぼれないようにし、言葉を発し、表情をつくるためにあります。舌や歯も、口に入れた食物を識別し、消化しやすく、かみ砕くためにあります。口は消化器官であって呼吸器官ではないのです。本来の呼吸器官は、鼻・喉・肺。鼻呼吸を前提に人間の体はできているので、口呼吸が慢性化すると、体にはトラブルが出てしまうのです。

喉を通して肺へ空気を届ける窓口は、鼻です。鼻は雑菌や空中のゴミをブロックしながら外気を吸い込むことができる仕組みになっています。例えるなら「フィルターのついた高性能な空気清浄機」です。

浅くて速い呼吸が二酸化炭素への耐性を弱め、姿勢を悪くする原因になるとお話ししました。この点、鼻呼吸は鼻腔のスペースが狭いので、とり込む空気に抵抗がかかり、呼吸がゆっくりになるため、呼吸量を抑えられます。呼吸がゆっくりになれば肺が膨らむ時間もつくれるため、姿勢を正しく保てるようになります。

エチケットとして処理されることのある鼻毛も、フィルターの役割を果たしてゴミが体内に入るのを防ぎます。さらに、吸い込んだ空気を静脈で加温、粘液によって加湿し、湿気や鼻水でフィルターを通り過ぎたほこりやゴミを防ぎ、細菌やウイルスもキャッチします。この粘液には抗体があるため、細菌などをキャッチしても感染リスクが低く、空気が鼻で温められることで肺への負担も下がり、免疫力もキープされます。

一方、口呼吸をしていると、口が乾いて唾液が少なくなってしまいます。唾液は細菌を抑え、酸によって溶けた歯を修復するなどの役割を果たしていますが、その唾液が少ない状態では口内や喉の粘膜は無防備になります。口臭が強くなり、歯周病や炎症などのリスクが高まります。

 

口呼吸の原因は何?

では、なぜわたしたちは口呼吸をしてしまうのでしょうか? 「口が開いてしまうなら、アゴの筋肉が弱っているのでは」と思われる人もいるでしょう。理屈としてはわかりやすいですが、これは間違いです。実は、口呼吸の原因は「舌の位置が間違っている」ことなのです。

口が閉じている状態では、本来、舌先は「スポット」と呼ばれる正しいポジションに触れています。スポットとは、上の前歯の少し手前にあるやや隆起した箇所。ここに舌先が触れているのが健康的な状態です。スポットに舌がついていると、歯列を定位置に保つ働きもあります。

反対に、舌が下がってしまったり、間違ったポジションにあると、歯並びも悪くなります。歯並びが均等でなければ、かみ合わせも悪くなって顔の左右が非対称になることも起こりえます。また、顔の筋肉も下がり、顔や首がたるんだ老け顔になります。このように、呼吸1つで顔の形成すら大きく変わってくるのです。

すでに口呼吸の恐ろしさは十分に伝わったかもしれませんが、まだまだあります。厚生労働省が2017年に全国からランダムで選んだ5149世帯を対象に行った「国民健康・栄養調査」によると、平均睡眠時間が6時間未満の割合は回答者全体の4割近く、40代ではおよそ2人に1人という結果が出ています。

睡眠で休養が十分にとれていないと答えた人の割合は年々上昇しています。6時間以下の睡眠を2週間続けると、徹夜2日間の認知能力と同じになると言われています。また、意欲や集中力の問題だけでなく、うつ病やアルツハイマー認知症などの病気や死亡リスクも高まります。

よく「いびきをかく人」ほど要注意

こうした深刻な睡眠の質の低下、場合によっては睡眠障害を口呼吸は引き起こすことがあります。その代表的な例の1つが“いびき”。いびきの原因は肥満や飲酒、疲労もありますが、口呼吸もその1つです。口呼吸で眠ると舌はスポットを離れてしまいます。舌が下がればその付け根も引っ込むわけですから、空気の通り道は狭くなり、結果としていびきをかいてしまうのです。

さらに舌が下がりきって気道を塞いでしまうと、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすいと言われています。これは、文字どおり寝ている間に何回も呼吸が止まる病気ですが、呼吸が止まって体に異常が起こらないわけはありません。

トラブルが毎晩何度も、何年も続けば、脳と体へのダメージは蓄積していくばかりです。このように、口呼吸は「万病の元」といっても過言ではないほどの悪影響を体に及ぼしているのです。

口呼吸の危険性は十分伝わったかと思います。それでも、夜眠っている間は意識的にコントロールできず、口が乾いて眠りが浅くなり、目が覚めてしまうこともあると思います。睡眠中の口呼吸は雑菌が入るだけでなく、血液中の酸素の数値が減り、心拍数が上がることもあります。そこで、おすすめしたいのが「口テープ」です。

さまざまなテープを試した結果、私のベスト口テープはニチバンの「低刺激ばんそう膏スキナーゲートメッシュ」です。

はがれづらいけれど肌が荒れることもなく、気にならないつけ心地です。もちろん個人差はあるので、マイベスト口テープを探してみてください。

ただし、鼻炎やいびきのある方は呼吸ができなくなる可能性があるため、口テープはやめておきましょう。

鼻炎やいびきは、アレルギーや骨格によるものである可能性もあるため、耳鼻科で相談して治すようにしましょう。

寝起きがよくなる「あいうべ体操」

また、口テープをつけるとストレスを感じるなど抵抗感のある方におすすめなのは、今井一彰先生が提唱されている「あいうべ体操」です。1カ月続けたら寝起きがすこぶるよくなったというお話もクライアントから伺います。1日30回、口を「あ」「い」「う」と過剰に大きく動かし、最後に「べー」と舌を思い切り出します。この運動によって舌が鍛えられ、舌がスポットに収まりやすくなるのです。

今このときも何気なく行っている呼吸ですが、その積み重ねが健康への大きな影響をもたらします。「口は呼吸器官ではない」ことを頭に入れて、「口テープ」や「あいうべ体操」を取り入れ、健康的な鼻呼吸を身に付けていきましょう。