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コロナ契機に「学び直し」 IT講座、ネット学習活況

新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務で生じた空き時間を、オンライン学習に充てる社会人が増えている。ウェブサイトやアプリの作成に必要な「プログラミング」をはじめIT関連の知識や技能を身に付けられる講座が人気だ。コロナ禍を契機にデジタル技術で既存制度を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が加速しており、転職・副業を視野に「学び直し」で新たな人生を切り開きたいという人も多い。

 

 「自分のできる領域が広がり、転職や副業の確保など選択肢が増えた」。東京都在住のエンジニアの男性(33)は、今春の緊急事態宣言下で在宅勤務が始まると、仕事を終えた後の時間を利用して新たなプログラミング言語の学習を始めた。「通勤やオフィスにいるだけでも無意識に体力を消耗していたが、それがなくなったことで学習に充てる時間や体力的な余裕が生じた」という。


 男性がオンラインで学んでいるプログラミング講座の運営元「プロゲート」(東京)によると、今年1月に90万人強だった国内会員登録者は、半年で120万人超に伸び、8月末には140万人を突破した。加藤將倫最高経営責任者(CEO)は「近年のデジタル化の流れでプログラミング受講希望者は増えていたが、コロナ禍が加速させた」と話す。


 ベネッセコーポレーションが米ベンチャー企業と展開するオンライン動画学習サービス「Udemy(ユーデミー)」も、「緊急事態宣言以降、IT系講座を中心に受講者、学習時間ともに急激に伸びた」(担当者)という。現役エンジニアらが自ら制作した動画を利用者が購入する仕組みで、「実践的な内容が多く、現業にすぐ生かせるほか、転職につながる具体的スキルを習得できる点が評価された」(同)と分析している。


 内閣府が6月に発表した生活意識調査では、10~30代を中心に、新型コロナの影響から新たな挑戦を始めたとの回答が過半数を占めた。プロゲートの加藤CEOは「(転職、起業など)本気で人生の可能性を広げたい人たちに奥深く、学び続けていける講座を提供するのが責務だ」と強調した。