「猫背を直す」と一気に若々しくなる根本的理由

清潔感がある人が好き、シュッとした雰囲気の人と会いたい――。結婚や恋愛に関するインタビュー取材をしていると、男女ともにこんな本心を明かしてくれることが多い。

「清潔感」も「シュッとした」も漠然とした概念だが、見た目の印象が大きいことは否めない。いわゆる美形であることではなく、全体として爽やかで健康的なことが大事なのだと思う。もちろん、体は適度に引き締まっていることに越したことはない。

しかし、30代半ばを過ぎたあたりから体重が増加傾向になっていることに気づく。若い頃と同じような生活をしているはずなのに、お腹がタプタプしてくるのだ。基礎代謝が落ちているのだろう。

ダイエットは婚活中の人だけの問題ではない。結婚した後も、健康で美しくあることは生活の質を上げることにつながる。もう若くはないわれわれ晩婚さんにとっては一大事なのだ。

新型コロナウイルスが終息しない状況で、スポーツジムなどに通うことに抵抗を感じる人もいるだろう。酷暑の中、熱中症も怖い。自宅でも簡単にできて、しかも継続しやすい生活習慣とエクササイズを教えてほしい。14年間にわたって2万人以上のダイエットを指導してきた小山圭介さんにお話を聞くことにした。

姿勢をよくするだけでダイエット効果が得られる理由

――いわゆる中年になっても若々しい体であるために最も重要なことは何でしょうか?

いちばん簡単で、しかも大事なのは姿勢です。いい姿勢でいると3つのいいことがあります。1つ目は、見た目の印象がよくなること。姿勢がいい人はフレッシュで小ぎれいに感じますよね。猫背巻き肩とは対照的です。

2つ目は姿勢をよくするだけで運動効果があることです。胸を開いて、お腹を引っ込めた状態を意識してください。これだけで代謝が40%も上がるというデータもあります。とくに運動しなくても痩せる効果を得られるのです。

3つ目のいいことは性格がよくなること(笑)。これは冗談ではありません。ハピネス系の神経伝達物質(セロトニン)が脳に分泌され、気持ちがポジティブになることが知られています。笑顔でいるとポジティブになるのと同じく、姿勢をよくすることで脳をいい意味でだますのです。

――パソコンに向かう作業時間が多いと猫背になってしまいがちです。

キーボードを手前に引き寄せて、肘などの各関節を90度に近づけてください。すると、姿勢が勝手によくなっていきます。

自宅でテレビを見ているときはしっかり寛いでいただいて、駅で電車を待っているときや歩いているときには胸を開いてお腹を引っ込めることを意識してください。上半身を意識するだけで下半身の使い方は連動して勝手によくなっていきます。

――すみません、まだ実践する自信を持てません。僕は子どもの頃から姿勢が悪くて猫背が常態化しているからです。

そうですよね。フィットネス業界でも「姿勢改善は1秒で実行できる」と言われていますが、肝心なのは継続です。よほど意識しないと姿勢をよくすること自体を忘れてします。

ならば、いい姿勢を体に形状記憶させればいいのです。そのための筋肉を発達させるための簡単なエクササイズをご紹介しましょう。

胸をギューッと開いて両手の肘を後ろに寄せてください。その状態で腕を上下に動かします。腕を下ろすとき、肘をできるだけ後ろにするのがポイントです。これだけで背中の大きな筋肉を使った運動になりますし、自動的に姿勢がよくなっていきます。1回20回を1日のうちに3セットやるのが理想です。

2.5食の食事を実践する方法

――食事制限はどうでしょうか。僕は175センチで70キロほどあり、標準体重を2キロオーバーしています。この2キロがなかなか落ちません。最近は昼食を抜いてみたりしています。

人類の歴史をひもとくと、電灯が発明されて夜が明るくなるまでの一般人は1日2食だったようです。暗い夜はじっとしていたのですね。だからと言って現代人に1日2食を勧めるのは無理があると思うので、私は2.5食を提唱しています。腹八分目、と言い換えてもいいかもしれません。

朝昼夜でどれだけ食べるのかという配分はその人次第で構いません。例えば、午前中から歩き回る営業職の人ならば朝食はしっかり10割食べないと力が出ないでしょう。その代わり、昼は今までの6割、夜は7割にします。それで2.5食が実現します。

なお、3食しっかり食べていて体重や見た目がいいところでキープできている人は食事制限の必要はありません。その人は、私が言う2.5食をすでに実践できているのと同じだからです。

――ご飯の誘惑に負けて大盛りにしてしまいがちなのですが、どうすればいいでしょうか。

量を我慢できないのであれば、野菜を増やすようにしましょう。私がお勧めしているのは納豆サラダ丼です。1人前のサラダにご飯と納豆を加えて、醤油や鰹節、ゴマ、ゴマ油などで味付けして食べてください。

生野菜とご飯が合うのかと疑問に思うかもしれませんが、意外なほどおいしいですよ。ネギなどの納豆の薬味を増やしていると考えてください。キュウリやレタス、トマト、アボカドなど、何でもOKです。野菜は細かく切ると食べやすくておいしいと思います。

男性は女性に比べると野菜の摂取量が少ない傾向があります。ビタミンやミネラルが不足すると内臓が汚れて体が老けていきます。端的に言うと、肌がガサガサの状態です。肌は内臓の映し鏡なので、「オレって内臓が汚い男なんだぜ」と言って歩いているようなもの。それでは婚活はうまくいきませんよね。

――姿勢改善エクササイズと2.5食ですね。今日から実践します。でも、効果が見えないとめげてしまいそうです。何日後ぐらいには効果が出てくるのでしょうか。

姿勢を改善すれば、その瞬間から印象は変わるので効果が出ていると言えます。体重に関しても、2週間後ぐらいには減り始めるはずです。

大切なのは、自分を客観視して振り返ること。毎日、体重計に乗りましょう。「あれ、どうして700グラムも増えているんだろう。ああ、昨夜の締めのラーメンか。たまにはいいけれど、控えめにしなくちゃな」といった学びを得られます。

ただし、体重は1つの指標にすぎません。元大リーガーのイチローさんの身長体重をご存じでしょうか。180センチで80キロもあります。あんな細身なのに意外ですよね。筋肉がバリバリについているので重いのです。当然、イチローさんにダイエットは必要ありません。

体重計に乗るのと同時に、鏡で自分の裸の全身を映してみてください。その姿に納得できるでしょうか。自分が異性だったら、この人と結婚したいでしょうか。客観視する習慣ができると、少なくとも姿勢はよくしようと思うはずです。

「姿勢がいいとモテる!」と言い聞かせてみよう

このインタビュー取材が終わった直後から、筆者は姿勢改善エクササイズを続けている。

 

立つのが面倒くさいときは、パソコンに向かいながら両腕を背中付近でグイグイと上下させるだけだ。簡単だし、気持ちがいい。頭もすっきりする。エクササイズ後しばらくは姿勢がよくなり、胸を開く習慣もついてきた気がする。

2.5食も姿勢改善エクササイズも、筆者でも2週間ぐらいならば続けられると思うし、そのうちに生活習慣になるかもしれない。コツは「姿勢がよくなるとモテる!」と自分に言い聞かせることらしい。結果として気持ちまでポジティブになれば言うことなしだ。