2カ月で4000語を暗記!英単語の超「覚え方」

英単語を覚えられないたった1つの理由

単語帳を丸1冊覚えてみたい。そう思ったとき、どんな方法を思いつきますか? 単語帳1冊には大体4000語が載っているとして、何カ月で達成できると思いますか。

私は2カ月で1冊、4000語を覚えることが可能だと思っています。方法はずばり、「一定期間における単語に出会う回数をとにかく増やす」。これだけです。

暗記において重要なのは、「暗記を試みた回数」であり、「暗記にかけた時間」ではありません。なので、単語帳を利用して単語を覚えるときに、1つの単語にかける時間は5~30秒程度にして、回転率をどんどん上げる必要があります。

皆さんの中でも、新しい単語帳を買って、最初はワクワクしながら単語を覚えていくのですが、だんだんとその進みの遅さと定着率の悪さに嫌気がさして、いつの間にかストップしてしまっているという方は多いのではないでしょうか? これは、皆さんの記憶力が悪いからではありません。

単純に、1つひとつの単語に対して多くの時間を費やして、1回で覚えようとする行為が、記憶の構造から考えて非効率な暗記法だからです。繰り返しになりますが、重要なのは「暗記を試みた回数」なのです。これは科学的にも証明されています。

人間の脳はそもそも復習しないと忘れる

ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスは、人の記憶がどのようなペースで忘れられていくのかについて研究し、その結果以下のような曲線を導いています。

ここから読み取れることは「記憶は1日経過しただけで半分以上忘れてしまう」ということです。

驚きの結果ですよね。この研究では、意味をもたないアルファベットの羅列を被験者に記憶させているので、英単語の暗記においてはもう少し緩やかな曲線になるかもしれません。それでも、記憶の多くが短い時間に失われるという意味では、非常に有意義な結果だといえるでしょう。

 

この結果を基に、復習と記憶に関する研究も行われています。その結果は以下のグラフに表れています。

このグラフを見ると、「暗記を試みた回数」が増えるにつれて忘れるスピードがドンドン遅くなり、最後には忘れなくなることがわかります。これはよく「長期記憶」と呼ばれ、簡単に忘れてしまうような記憶(短期記憶)が、しばらく暗記作業を行わなくても忘れない記憶に変換されたことを意味します。このように、単語を暗記する際は1つひとつに時間をかけて1回で覚えようとするのではなく、何度も何度も単語帳を回転して、単語に出合う回数をとにかく増やすことが重要なのです。

今まで記憶力が悪いと思っていた人も、何度も何度も繰り返すことを意識するだけで、頭に単語帳の内容がしっかりと頭にインプットされるようになります。

また、何周もすることは、単語帳の全体像をつかむことにも役立ちます。どれくらいの量の英単語が収録されており、自分の知らない英単語は現在どれくらいあるのかを理解し、暗記作業というプロセス全体において自分が今どこにいるのかをイメージしながら学習を進めることは、学習の計画や内容を柔軟に変更するうえでも重要です。

まず、今回は1日2時間の学習時間を確保することを仮定しています。まとまった時間でなくても、通勤時間などの隙間時間を有効活用し、合計2時間程度確保できれば問題ありません。

そして、1日2時間確保するだけで「2カ月間の間に単語帳を5周する」ことができます。例えば1語最大30秒という制約のもと英単語学習を行うと、1周するには30秒×4000語、つまり最大で約33時間(17日間)かかります。しかし、単語帳が進むにつれて既知単語が増加し、30秒必要な単語数は減少します。結果、合計で2カ月という短期間の中で4000語を5周することが可能になります。

つまり、今回は「1語最大30秒で、4000語を5周すること」が学習戦略になります。

やるべき3つのステップ

やるべきことはたった3つです。とにかく単語帳を何周も回すことを意識しながら、以下の3ステップを行ってください。

①英単語を見て意味を確認する(3~5秒)

日本語訳をそのまま覚えようとするのではなく、その意味の先にあるイメージや感覚を大事にしましょう。例えば、organizedという英単語を覚えるとき、「組織的な」という日本語の丸暗記を行うのではなく、「組織的な」という言葉の奥にある「何かが一貫性を持って整理されているイメージ」を強く意識します。こうすることで、より感覚的に英語を捉えられるようになりますし、1つの単語にかける時間を短くすることができます。

②意味をイメージしながら発音する(7〜10秒)

次に、英単語のイメージ・感覚を頭に思い浮かべながら、発音記号に沿って数回発音しましょう。 実際に発音して音で覚えれば、聞いたときに理解できるだけでなく、話したときに相手に伝わるようになります。ゴロ合わせで覚えたり、カタカナ英語で覚えたりすると、見たらわかるけど聞き取れない、発音したときに通じないといった問題が起きます。 発音をちょっと意識するだけで、そんな問題からも解放されます。

③英単語を使って文をつくる(10〜15秒)

最後に、英単語を使って文章をつくり、何度も気持ちを込めて発音してみましょう。中学英語レベルの、簡単な英文でも大丈夫です。3つのステップの中でいちばん時間がかかるものなので、完璧を求めず、時間が経過したら次の単語に移りましょう。このステップは覚えた英単語を使えるようになることが主な目的です。最初は、1つ目と2つ目の戦術がしっかりできていれば、とくに大きな問題はありません。

まずはこの3ステップに沿って、とにかく1周やりきることを重視してください。

私はこれまでさまざまな単語帳に取り組んできましたが、上記のステップで回転率を重視し学習を行ったところ、ほとんどの教材が写真のようにボロボロになってしまいました。

 

1語30秒でやらなければならないとわかっていても、どうしても覚えられているか不安になって30秒を大きくオーバーしてしまうことがよくあります。しかし、先程もお話ししたとおり、ここで重要なことは1つひとつの単語を完璧に覚えることではなく高い回転率、つまり単語帳を何回も周回することです。

ですので、30秒を超えて覚えていないかもしれないと思っても、「これは見たことあるな」くらいで次の単語に移ることです。覚えられないところにこだわらずにどんどん先へ進み、まずは1周するようにしてください。1周目が終了したあと、忘れている単語もたくさん出てきますが、まったく問題ありません。後で何周もするので、1周目で覚える必要はないからです。安心して30秒で切り上げ、次に移るようにしてください!

2周目以降については覚えた単語はさっと目を通す程度にして、次に進みます。その場合おそらく5~10秒で次の単語に進むことができると思います。そうするとその分時間が余るはずなので、より速いペースで2周目を終わらせることができます。また、余った時間を使い覚えにくい単語に対してより時間をかけて定着率を高めるのも上手な時間の使い方であると言えます。

単語帳を何度も周回していると必ず覚えられない単語が出てきます。そうした単語については、あえて時間を割いて次の方法で頭に入れるようにすると効果的です。例えば、「glare=ぎらりとした」という単語をなかなか覚えることができなければ、Google画像検索を使って、イメージで覚えてしまうことです。上記の単語で画像検索すると、次のようなイメージが表示されます。

こうして、一度画像やイメージで単語の概念を捉えておくようにすると、覚えにくい単語でも頭に入ってきます。

受動的語彙を、能動的語彙へ

英語学習の目的は皆さんそれぞれだと思いますが、英単語を覚えた後は、オンライン英会話などを利用し、覚えた語彙を実際にアウトプットする機会を増やすことをお勧めします。こうすることで、見たとき、聞いたときに理解できる「受動的語彙」が、実際にアクティブに使える「能動的語彙」に進化します。

私は高校時代に英語学習を始めるまでは、とくに将来への目標もなく、何となく人生を過ごしてしまっている学生でした。しかし、英語学習を始めてから海外での就職、YouTubeチャンネルAtsueigoの設立など、次々と人生の起点となる出来事を生み出せるようになりました。

英語はあなたの可能性を無限にしてくれる、最強のツールです。たかが言語、たかが単語学習と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうしたことをきっかけに自分の可能性が大きく開き、人生を変える力を持っているのが「英語学習」なのです。

これは私の人生に限った話でなく、これまでに英語で人生を変えた人を多く見てきた経験から強く実感していることです。ですので、この記事が1人でも多くの人の人生を変えるきっかけになればうれしいです。