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「コロナ禍での旅行」気をつけるべき7つの点

今年の3~5月にかけての新型コロナウイルスの流行においては、緊急事態宣言という大きなカードを切ることにはなりましたが、多くの企業や個人の努力により、国内での感染者数をいったんは抑え込むことに成功しました。しかし、今は再び感染者が増えている状況にあります。

 

最近さかんに報道されているように、接待を伴う飲食、懇親会、パーティーなど、いわゆる3密+α(飲酒や食事、声を出す場所)が、(見える範囲での)感染の中心となっています。

また、東京での大きなイベントの開催におけるクラスターの発生は、地方にも波及しており、体制が脆弱な場所ではさまざまな影響を受けているのではないかと大変危惧しています。すなわち、家庭内、医療機関、高齢者施設において感染が徐々に広がりつつあるのではないかということです。

私は、この感染症との付き合いは長期にわたると考えています。『企業のための新型コロナウイルス対策マニュアル』でご紹介した対策をベースに、今、我々が心がけるべきことを提言いたします。今回は、旅行や帰省の際に気をつけるべきポイントを解説します

旅行で考えておきたい7つのポイント

これから夏の帰省や旅行シーズンを迎えるにあたっての移動についてですが、その地域での感染がなければ、そこの範囲で移動をするのはいいと思います。ただし、感染拡大した場合は、すぐに移動をやめられるようにはしておきたいものです。

一方で、どういう状況でもある程度の人の移動はできるようにしておかなければならないと思います。どうしても必要な訪問もあるでしょう。例えば、親の介護は行けるときに行かなければならないでしょう。終末期の人の最後の旅行など、どうしても行くべきものもあるはずです。

今後、日が経てば経つほど状況がよくなるという見込みは一切ありません。むしろ冬に向かうにつれて状況が悪化する可能性もあります。新型コロナウイルス感染が落ち着くにはかなりの時間がかかるでしょうから、行けるときに行っておくという考えも必要です。

以下、長距離の移動をする際に気をつけるべきポイントを7つにまとめてみました。

ポイント1 : 時期を分散する

帰省ラッシュなどで、一斉に人が動くのは感染拡大の大きなリスク要因です。移動の時期が重ならないように、皆で調整してずらしてほしいと思っています。国もそうした呼びかけをそろそろしてもよいのではないでしょうか。

ポイント2 : 旅行1〜2週間前からハイリスクな行動を取らない

移動の1〜2週間前にハイリスクな行動をできるだけ取らないことが大事です。熱を毎日測って症状も確認して記録しておく健康ダイアリーをつけておくと理想的です。

ポイント3 :飛行機で行くような旅行、海外旅行はなるべく避ける

この先1年は、不要不急の海外旅行は難しいと考えたほうがいいと思います。行った先で、万が一発症すると帰ってこられなくなる可能性があります。また、海外だと医療費がものすごく高くなる可能性があります。流行地であれば、現地でもらってきて日本に持ち込む可能性もあります。

なるべく近距離で感染リスクを抑える

ポイント4 : 旅行の種類を考える

家族だけで車で移動して、キャンプ場やホテルで過ごして帰ってくるという行動は、感染リスクは低いです。一方で、行った先で不特定多数の人と交流して帰ってくるような旅行はリスクが高くなります。例えば音楽フェスなど、声を出したり、交流したり、お酒を飲んだりするイベントのリスクはかなり高くなります。

ポイント5 : 観光地ではできるだけ距離を空け、3密を避ける

日本であれば、全国どこでも多くの人はマスクをしているでしょうし、人とは1~2mの距離を空けて、1m以内で15分以上マスク無しでしゃべるようなことをしなければ、感染リスクはそう高くないと思います。

海水浴や山登りなどは換気もよく、感染のリスクは低いでしょうし、美術館や博物館などでクラスターが発生するとはとても思えません。感染リスクがあるとすれば、声を出すような場所で人との交流が多いところでしょう。東京スカイツリーのようなところでも距離を空けて、皆がマスクをしていて、お互いそんなにしゃべらなければ、手洗いをきちんとすれば感染リスクは低いと思います。

ポイント6 : 屋内イベントは5つの条件をチェック

屋内イベントの感染リスクを評価するには、以下の5つの条件を見る必要があります。これらが重なれば重なるほど感染リスクが高まります。

「①ファンの間での交流(不特定も含む)などがあるのか、②踊るなどして観客の呼吸が増したりするのか、③歌ったりして飛沫が増す環境があるのか、④飲食や飲酒はあるのか、⑤人の都道府県の移動はあるのか」

 

とくに、不特定多数のファンが交流するようなイベントは感染リスクが高くなります。また、その場でみんなで踊ったり、歌ったりしたり、飲食や飲酒などをすれば、さらにリスクは高まります(クラシックのコンサートのようなものだとそういうものには当てはまりません)。こうしたイベントにおいても、お互いにマスクをして、あまり話をしなければ、感染リスクは低くなります。

イベントではないですが、屋内での法事やお葬式などでもクラスターが発生しています。中止はしなくてもいいですが、こうした場でも感染対策は必要です。

ポイント7 : 地元再発見、近距離の旅行から

「地元再発見」ではないですが、近距離で、何かあったらすぐ帰れるくらいの短い旅行はいいと思います。行った先で具合が悪くなった場合、近くならすぐ帰れますし。

「自分を守り、周りを守る」お互いに思いやりを

 

しっかりと体調を確認しながら旅行に行ったとしても、感染リスクはゼロにはなりません。そういうときに感染してしまった人を責めることのないようにしてほしいと思います。

新しい生活様式は、自分を守り、周りを守る、思いやりに満ちたものです。たまたま感染した人が近くにいても、しっかり自分を守れるようにすればいいのです。

新型コロナウイルスと共存する時代、お互いに思いやりを持って行動することが求められるのだと思います。