ディズニーも実践、「尻込み人生」を変える思考

他人の目を気にするのは“損”

人に嫌われないように気をつけるあまり、他人の目を気にして、自分を取り繕い、本来の自分を発揮できていない人がいます。やりたいことや夢があっても、周りの人に何と言われるかを気にして、発言できないのかもしれません。

例えば、友達とランチに行ったとき、友達が「パスタを食べたい」と言ったから、本当はラーメンが食べたいのに、「私もパスタが食べたい」と自分の意見を言わない人がいます。「ラーメンが食べたい」と言うことで友達に嫌われるかどうかわからないにもかかわらず、周りの人に嫌われないように自分の意見を曲げる。これはすごく“損”なことです。

 

「20-60-20の法則」というものがあります。これは、20%の人は何があってもあなたを応援し、20%の人はあなたが何をしても気に入らず、60%の人はあなたの言動次第で対応が変わるというものです。

つまり、全員に好かれることはかなり難しく、何人かに気に入られないのは仕方がないのです。

先の例でも、あなたが「ラーメンを食べたい」と言ったことに対し、友達が怒ってしまったら、それはあなたと友達の相性やあなたの発言のタイミングといった組み合わせが悪かっただけ。気にする必要はないのです。

このように、日頃のちょっとしたことであっても、自分がやりたいことや自分の考えなどを発信するようにしましょう。その中で誰かに批判などをされても、「組み合わせが悪かった」と思うことで、自分自身を否定されたのではないと、周りの目を気にしなくなるのです。

理論や理屈を最重要視するのは“損”

世の中は予測不能なことや想定外のことだらけです。そんな中、理屈ばかり言っている小利口な人は、つねに根拠を求めるので、行動よりも思考にエネルギーを使ってしまいます。

彼らは、なぜ行動できないのでしょうか。それは「失敗したら格好悪い」「傷つきたくない」「ムダなことがあると嫌だ」などの思い込みが強く働いているからです。

賢くたくましい人は、やたらに根拠を求めません。余分なことを考えている暇があったら、とっとと走り出すのです。走りながら考え、考えながら走ることで、次々に起こる出来事へ対応することができ、目標に近づきやすくなるからです。

そんな人たちを見て、小利口な人は「あいつはバカだなー」「無鉄砲だと痛い目を見るぞ」とバカにしています。自分はチャレンジをすることもしないのに……。

ミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニーは、事業を考えるときに「ドリーマーの部屋」「リアリスティックの部屋」「クリティックの部屋」の3つを行き来していたという話があります。

部屋にはそれぞれの役割があり、「ドリーマーの部屋」では、笑われるようなことでも、バカにされるようなことでもいいので、自由に物事を考える。「リアリスティックの部屋」では、ドリーマーの部屋で考えたことをどうすれば実現できるのか考える。そして、「クリティックの部屋」では、ここまで考えたことを建設的に批評し、実現可能性やリスクをチェックするというものです。

初めに「ドリーマーの部屋」でぶっ飛んだ発想をしたからこそ、ファンタジーにあふれた世界観をつくることができたのでしょう。

「バカだなー」と人のことをとやかく言っている間は、自分自身を成長させることもできない、とても損な状態です。「バカだなー」と言われることを恐れずに、ぶっ飛んだ発想をして、自分の夢を見つけることから始めてみましょう。

部下がミスをしたとき、あなたはどう反応しますか。「ダメだなあ」「大丈夫、次から気をつけて」など、さまざまな反応があると思います。

アドラー心理学では、相手を勇気づける言葉を〈勇気づけ〉の言葉、相手の勇気をくじく言葉を〈勇気くじき〉の言葉と言い、ここでは、「大丈夫、次から気をつけて」が〈勇気づけ〉の言葉、「ダメだなあ」が〈勇気くじき〉の言葉です。

他人からの何気ない〈勇気くじき〉の言葉で人はひどく落ち込んだり活力をなくしてしまったりするので、あなたが〈勇気くじき〉の言葉を発したとき、相手の未来の活力を奪う〈勇気くじき〉の人になってしまうのです。これは、相手を貶めて自分を優位にするために意図的に使う人もいますが、とても卑怯な行為といえます。

また、自分が相手の勇気をくじいてたら、自分の勇気をくじいている可能性も高いので、注意してください。自分の勇気も相手の勇気もくじいていても、何ひとついいことなんてありません。

〈勇気くじき〉をしているかどうかは、自分や相手が失敗したときにかける言葉を確認するとわかります。

先ほどの例のように、「できない」「才能がない」「ダメだ」など、ネガティブな言葉をかけていたら、それは〈勇気くじき〉です。一方、「大丈夫」「まだまだできる」「これからだよ」とポジティブな言葉をかけていたら、それは〈勇気づけ〉です。

〈勇気づけ〉の根本は承認にあります。自分や相手を承認し、相手の未来への活力を与える〈勇気づけ〉の人になるほうが、相手の可能性を引き出すこともできます。

相手を〈勇気づけ〉した自分に対して「いいね!」を出してあげると、自己肯定感も上がるので一石二鳥です。

自分を変えるきっかけは損得勘定でもいい

損得勘定は美徳に反するイメージが持たれがちですが、自分にとって「損か、得か」で判断し、自分の行動を変えられるのであれば、それに越したことはありません。得な行動が身についたら、「人として何が誠実な行動なのか」「自分は何をどうしたいのか」と損得勘定抜きに考えられるようになります。

自分を変えるきっかけは、まずは損得勘定でも問題ありません。むしろ、無理をせず変わるためのとても合理的な方法なのです。ぜひ実践してみてください。