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快進撃が止まらない!藤井聡太新棋聖

 藤井聡太棋聖が史上最年少でタイトルを獲得した棋聖戦第4局から一夜明けた7月17日、敗れた渡辺明二冠が自身のブログ「渡辺明ブログ」を更新した。  もともと、終局後の記者会見で「読めていない手が出てきた」、「全体として競った将棋で負けている」、「すごい人が出てきたなという感じです」などと語っていた渡辺二冠。  ブログでは改めて第4局を分析し、ポイントとなった藤井棋聖の「8六桂」について<終盤は△86桂が読めていないところで完全に競り負けました>と振り返っている。  また、棋聖戦で負けた第1、2、4局を総括して、<負け方がどれも想像を超えてるので、もうなんなんだろうね、という感じです>とも述べている。  渡辺二冠は長い将棋の歴史のなかで5人しかいない中学生でプロ棋士になったうちの1人だ(他には加藤一二三九段、谷川浩司九段羽生善治九段、藤井棋聖)。  タイトル獲得も歴代5位の25期、初代の永世竜王でもある。「現在の将棋界で最強」の呼び声も高かった。  そんな超一流棋士の渡辺二冠に、ここまで「完敗」を認めさせた17歳の藤井棋聖の実力たるやいかばかりか。  一方で、敗因を客観的に分析し、ここまで赤裸々に心境を世間に知らしめて、そのうえで前に進もうとする渡辺二冠の精神力も、とてつもなく強靭だと言えるだろう。同じ「勝負」にかかわる人間、たとえばトップアスリートにもなかなかいないのではないか。  ブログに藤井棋聖への“勝ちパターン”を「次の機会までに考えます」と書いているように、必ずや立て直してくるはずだ。  これから長く続くであろう2人の名勝負に期待したい。