· 

1キロ4万円…1匹5980円の超高級魚は「サンマ」初水揚げわずか197匹 歴史的不漁で"過去最高値"

7月15日朝、北海道釧路市で全国で初めて水揚げされた生サンマの競りが行われ、1キロ4万円を超える過去最高値となりました。  サンマはわずか197匹しか獲れず、歴史的不漁です。  今シーズンのサンマ漁は、7月8日から始まり、十勝の広尾漁協所属の船が14日港に戻り初めて水揚げしました。  船員:「まだまだ獲れるといいんだけど。期待してやらないとね」  15日朝早く、釧路市の市場に運ばれたサンマはわずか197匹、重さ20.9キロ…。2018年の742キロ、記録的不漁だった2019年の48.3キロの半分以下となりました。  この歴史的不漁から、競りでは1キロあたり4万1040円の過去最高値で落札されました。  マルサ笹谷商店 専務:「新型コロナウイルスで消費的にはかなり厳しい状態ではあった。北海道から明るいニュースを届けたいと思って買いました」  サンマは釧路のほか、札幌や関東に出荷されます。

このまま高級魚になってしまうのか?

7月8日にサンマの流し網が解禁されました。群れが少なくなかなか水揚げがありませんでしたが、15日によくやく初水揚げされました。サイズが大きいものは1キロ当たり3万8000円という高値で取引され、店頭小売価格は一尾5980円でした。

 

サンマの体重を150gとすると、ほぼ利益はでません。需要と供給のバランスからこの価格になったというよりも、景気づけのご祝儀相場で高く買ったものと思われます。

秋に獲れるサンマとは別の回遊群

 

今年のサンマ漁は、なかなか厳しい滑り出しですが、現在の漁業の対象となっているのは、秋に捕れるサンマとは別の回遊群であることに注意が必要です。

秋に捕れるサンマは上図の青矢印のように、これから日本周辺に接岸をしてきます。一方、現在、流し網で漁獲されているサンマは、赤矢印で示したように、春から初夏にかけて三陸沿岸を北上してきた別の群れなのです。

流し網漁業で漁獲対象となっているサンマは,春から夏に,三陸沿岸域を北上暖水(黒潮系暖水)の発達と共に北上し,北海道へとやってくる北上群であるとされている。

今年は三陸を北上してくるサンマが少ないという予測は、道総研 釧路水産試験場が7/1に発表しています。毎年行っている試験操業では、全航海を通してサンマが1尾しか獲れませんでした。また、流し網のサンマ漁獲量は、5-6月の岩手県、宮城県の定置網でとれるサンマの量と相関関係があるのですが、今年は岩手県・宮城県ともに、定置網でのサンマの漁獲が報告されていません。

このような状況から、今年の流し網漁の不漁は予測できたことであり、ほとんどの船は出漁していません。

サンマ漁はこれからどうなるのか?

流し網の漁獲対象は、日本の水揚げの大部分を占める秋の回遊群とは異なる群れであり、「7月にサンマをなんとしても食べたいんだ!!」という人以外には、直接的には大きな影響はありません。

日本のサンマの漁獲の中心は、秋に釧路~三陸沖を通りかかる群れ(上図の青矢印)です。主産卵群は、今まさに日本に向かって太平洋を泳いでいる最中なのですが、こちらの調査は国の研究機関である水産研究・教育機構が行っており、その結果は今月末に公開される予定です。

気になる主産卵群ですが、公海では中国船もあまり獲れていないようですし、日本船はそもそも出漁していません。

公海サンマ漁 出漁せずに終了へ

漁場が遠い割に漁獲量が少なく採算が取れないとして漁を行わずに終える見通しです。

日本はこれまで公海でサンマを漁獲していなかったのですが、2016年にロシアで操業できなくなったサケマス流し網漁船を公海サンマ漁に転換しました。去年は、5-7月に操業をして5000トンの水揚げでした。根室から2000キロ離れた漁場で操業し、ロシアの加工母船に売却するのですが、単価が安く採算がとれませんでした。今年は、ロシアに対して、値上げ交渉をしたが決裂し、採算の見通しが立たないために、出漁を見合わせています。

気になる価格は?

 

今年のサンマには安くなる要素はありません。ただし、1尾6000円はご祝儀価格なので、今後もこの相場で推移することはあり得ません。不漁だった去年も平均の浜値は1キロ317円だったので、今年もこれに近い価格に最終的には落ち着くと思われます。

好材料が見当たらないサンマ漁業ですが、あまり期待をせずに、今月末に発表される来遊量調査の結果を待ちたいと思います。