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免許証とマイナンバードの一元化検討始める

菅義偉官房長官は新型コロナへの対応を受けて「マイナンバー制度と国と地方のデジタル基盤を抜本的に改善する必要がある」と述べた。「運転免許証をはじめ免許証や国家資格証のデジタル化などできるものから実施したい」と強調した。

菅氏はマイナンバーカードの利便性や普及率を向上させるため、有識者の意見を踏まえて年内に工程表をまとめるよう指示した。

9月からは消費活性化策としてマイナンバーカードの保有者を対象にポイントを還元する制度「マイナポイント」が始まる。同制度の周知や手続きが簡単なQRコード付きカード申請書の再交付などを通じてカード普及率を高める。

マイナンバーカードの機能拡充も検討課題になる。有識者からは「運転免許証との一体化」を求める意見が出た。国家資格証のデジタル化や外国人の在留カードとの一体化も議論する。

現金10万円の給付作業では自治体が個別にシステムを外注したり、申請内容が正しいか手作業で確認したりする例が相次ぎ、混乱が生じた。

政府はマイナンバーカードのシステムを運営する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の体制を強化する。現金給付などに必要な自治体の業務システムの標準化を目指す。本人の同意を前提に金融機関がマイナンバー制度を使って本人確認ができる制度も検討する。

マイナンバーカードは2021年3月から健康保険証としても利用できるようになる。保険証の機能に加えて学校などで受けた健康診断結果を閲覧できるようにするなど機能の追加を目指す。

政府はマイナンバーカードを「22年度末にほとんどの住民が保有する」との目標を掲げる。現金給付の申請や「マイナポイント」制度により申請数は増えたが、普及率は2割程度にとどまる。多くの人が本人確認のために携帯する運転免許証と一体化できれば、マイナンバーを通じた行政のデジタル化が進むとみる。