ホームセンターの園芸売り場に行くと、いくつもの野菜のタネが陳列されていてどれを選べばいいのか全くわからなくなるものです。
私がおすすめする家庭菜園の初心者さんの野菜のタネの選び方は、栽培期間が短い早生種というタネを選ぶことです。栽培期間が長いものよりも短い方が病気や害虫の被害が少なくなるので収穫できやすい特徴があります。
つまり、家庭菜園を始める時はどのタネを選べばいいのかという野菜のタネの基礎知識が必ず必要になります。
ここでは、野菜のタネの選び方、有効期限、保管方法の基礎知識をわかりやすく解説しています。野菜のタネの基礎知識を覚えて美味しい野菜をたくさん収穫できるようになってください。
1.野菜のタネの選び方
みなさんはホームセンターの園芸コーナーに足を運んだことはありますか?
ホームセンターには、ナス、トマト、キュウリ、インゲン、エダマメ、トウモロコシ、コマツナ、キャベツなどのいろいろな野菜のタネが売っています。
そして、1種類の野菜にしても、いろいろなメーカーのタネ(タキイ、サカタ、カネコ、トーホク、アタリヤなど)が販売されているので、どのタネを買ったらいいのか悩んでしまうかもしれません。
野菜などの植物のタネは、後世に子孫を増やしたり残したりする役割を持ったものです。自分が育ちやすい季節になったら、発芽、開花、結実という工程を経て再びタネを作り出しています。
初めて家庭菜園で野菜を栽培してみようと考えている方は失敗を少なくする為に、まずは、育てやすいタネを選ぶことから準備を始めてください。
家庭菜園で育てやすいタネとは、野菜の栽培期間が短いタネのことです。野菜の栽培期間を短くすると収穫までの日数が短くなるので、害虫や病気のトラブルに遭遇する確率を低くできます。
野菜の栽培期間が短いか長いか表したことを早晩性(そうばんせい)といいます。いろいろな種類のタネの早晩性を栽培期間が短いものから並べてみると、
- 極早生(ごくわせ)
- 早生(わせ、そうせい)
- 中早生(なかわせ)
- 中生(なかて、ちゅうせい)
- 晩生(おくて、ばんせい)
という順番になります。
ですので、家庭菜園の初心者さんが育てやすいタネというのは、極早生か早生です。
どこのメーカーでも構いませんのでタネ袋に早生と書かれた早晩性のタネを選んでもらうと育苗の失敗を少なくでき育てやすいと思います。
なお、晩生は極早生よりも遅く収穫しますが寒さに強く収穫量が多いという特徴があります。
早晩性の他にもう一つ重要なことがありまして、それは品種という言葉です。品種とは、同じ品目の野菜の中で性質が異なるものを分類したもののことです。
例えば、各タネメーカーの中玉トマトの品種を例にすると、
- タキイ:フルティカ
- サカタ:シンディースイート
- カネコ:スィートトマト
などいろいろな品種がありますので、野菜を栽培する各地域の気候環境に適した品種を育てることで失敗を減らすことができます。早生でF1品種で味と香りが良く耐病性があるタネを選んでもらえばいうことはありません。
育てやすい品種のタネをまとめますと、
- 一般的な野菜:風味が良く病気に強く丈夫に栽培でき形が良い野菜が多収穫できるF1品種(1代交配種、ハイブリッド種)
- ニンジン:根っこが短いミニ品種
- インゲン:つるが伸びない矮性品種(わいせいひんしゅ)
などが家庭菜園の初心者さんは手軽に育てられると思います。
また、キャベツ、白菜、こまつな、ホウレンソウなどの葉もの野菜を育てる時は、タネまきをする時期が遅れると花を咲かせようとトウ立ちが起こってしまい葉っぱがまずくて食べられなくなることがあるので、晩抽性(ばんちゅうせい)の品種のタネを選ぶとトウ立ちが起こりにくくなり育てやすいです。
ホームセンターのタネの陳列場所についてですが、タネ袋に直射日光が当たっているもの、日陰に並んでいるもの、屋内で温度が一定に保たれているものなどあります。
タネを購入する時は直射日光に当たっているタネは避けて、できるだけ日陰や屋内などの日があたっていない涼しい場所に陳列されているタネを購入するようにしましょう。
2.野菜のタネの有効期限
みなさんは、野菜のタネには有効期限があることをご存じでしょうか?
もし、野菜のタネ袋をお持ちの方がいましたらタネ袋の裏面を見てください。上の写真のように、袋の裏面に有効期限が記載されていることに気がつきましたか?
食品には賞味期限がありますが、タネには有効期限があります。この有効期限までにタネを使いきらないといけないという期限ではなく、有効期限まではタネ袋に記載されている発芽率でタネが発芽するということです。
では、有効期限を過ぎてしまうとどうなるのかというと、タネは発芽しなくなるのではなく、発芽できるタネが著しく少なくなってしまいます。
家庭菜園でタネまきをする時は、この有効期限と発芽率という言葉は重要ですので、タネを購入する時は有効期限を確認して、日にちがたくさん残っているタネを購入しましょう。
タネの発芽率について
発芽率とは、土にまいたタネがどのくらいの確率で芽を出すのかという率のことで、数字が高くなるほどよく発芽する傾向があります。
したがって、野菜のタネを購入際はタネ袋に書かれている有効期限と発芽率を確認することをおすすめします。
上の写真を使って説明すると、発芽率80%と書いてある場合は、タネを10粒まくと1粒か2粒は発芽しない可能性があるということです。発芽率が低いタネは発芽しないタネが多く混じっているのでタネを多めにまくようにしてください。
3.野菜のタネの保管方法
ホームセンターでタネを購入すると、野菜によって異なりますが入っているタネの個数(多いもので100個以上入っています)が多すぎて必ずと言っていい程使いきれなくて余ってしまいます。
その様な時は、野菜のタネを保管や保存するのに困ってしまいますよね。
みなさんは、余ってしまったタネを部屋の机の上にそのまま放置していませんか?
余ってしまったタネの正しい保管場所は、冷蔵庫や日が当たらなく涼しい場所で保管することをおすすめします。
タネを常温で保管すると有効期限までしか発芽率は維持できず、有効期限を過ぎたタネは著しく発芽率が低下してしまいます。
例えば、私の経験では常温で保管して有効期限を1年経過した場合では、
- インゲンのタネ:10個まいて3つ発芽(発芽率30%)
- トウモロコシのタネ:10個まいて5つ発芽(発芽率50%)
- 枝豆のタネ:10個まいて5つ発芽(発芽率50%)
- 葉ネギやタマネギのタネ:20個まいて3つ発芽(発芽率15%)
という結果になりました。
この様に、常温で保管すると発芽率が悪くなり、タネをまいても発芽しないタネがでてきますが、冷蔵庫で保管すると温度が低温に保たれるので有効期限を延ばすことができます。
冷蔵庫で保管する時に気をつけること
冷蔵庫で保管する時は、タネと乾燥剤を密閉できるもの(密閉容器や袋)に入れてください。密閉した状態で、冷蔵庫か冷蔵庫の野菜室に入れておけば大丈夫です。長期保存する時はよく乾燥させてから冷凍室が適しています。
つまり、湿気を持たないように乾燥させ低温保存すれば発芽力の低下はある程度抑えられるということです。
なお、タネは湿気に弱いので、容器に入れる乾燥剤は定期的に取り換えることをおすすめします。
代表的な野菜のタネを低温(冷蔵庫)で保存した時の発芽力が維持できる期間は次の通りです。
- 2年くらいもつタネ
- ネギ、ニラ、タマネギ、ニンジン、ホウレンソウ、エダマメ、トウモロコシ、インゲン
- 3年くらいもつタネ
- ダイコン、キュウリ、カボチャ、キャベツ、ハクサイ、レタス、こまつな、エンドウ
- 4年くらいもつタネ
- ナス、トマト、スイカ
上記の期間はあくまでも目安です。古いタネは発芽力が弱っていて、発芽してもその後の生育力も弱いこともあるので、できるだけ新しいタネを使って野菜栽培をすることをおすすめします。
ホームセンターで売っているタネは袋に入っている数が多すぎるという方は、少量入ったタネは100円ショップでも売っているので、100円ショップを活用してみてください。
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