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「めんどくさい」を引き起こすダメな思考5つ

ネガティブな記憶に脅かされている

「めんどくさい」を引き起こす考え① 考えることはいいことだ

めんどくさいを引き起こす5つの考えの1つ目は、「考えるのはいいことだ」ということです。こう考えている人は多いでしょうが、そうした常識が正しいとは限りません。研究結果によれば、人は1日に約6万回考えるそうです。そのうち95%は前日または前々日と同じことを考え、 80%はネガティブな考えだと言います。

さらに心理学で、「ネガティビティ・バイアス」という言葉があります。人はポジティブなことよりも、ネガティブなことのほうが、強烈に記憶に残るわけです。すると、人は考えるたびに、ネガティブで強烈な記憶がどんどん蓄積されていることになります。

それでも、「考えることはいいことだ」と言えるでしょうか?

学校の試験や仕事において、考える力の強い人間が勝利を収めているのも事実ですが、それについては「なんとなくの思考」と「意識的な思考」を区別する必要があります。

紙やパソコンに自分の考えを書きながら、思考を深めたり、考えをまとめるといった「意識的な思考」は全体のほんの一部で、ほとんどは雲のように私たちの頭の中にやってくる「なんとなくの思考」です。

 

そうした考えのほとんどはネガティブなものであり、それが大量にやってくるのですから、脳は毎日相当なストレスを受け、新しいことに挑戦しようとしても「めんどくさい」という気持ちが強くなって行動できなくなってしまいます。情報過多の現代においては、考えない力の習得がますます必要です。

「めんどくさい」を引き起こす考え② 効率的にやりたい

めんどくさいを引き起こす5つの考えの2つ目は、「効率的にやりたい」です。では、「効率的にやりたい」と思うことの何がいけないのでしょうか。

一般的には、勉強でも仕事でも効率的にやる人のほうが、高く評価されますよね。でも、夢や目標に向かった行動や、普段やっていないことをやろうとする場合、効率的にやりたいという考えは、逆効果となります。

やってみないとわからないことが多い

「効率的にやりたい」という考えがあると、行動する前に、なるべく多くの情報を集めてからでないと行動できないと思ってしまうからです。そうやって集めた情報のせいでかえって混乱して、行動できなくなってしまうのです。

しかし、どのやり方が自分に合っているかは、実際にやってみないとわかりません。 やり方で悩んで何もしないくらいなら、とりあえずやってみればいいのです。どのやり方にしろ、やった分だけ成果があるのは間違いないのですから。

でも、人はなるべくラクをして身に付けたいと思う生き物です。ラクをしようとすること自体は悪いことではありませんが、問題はそのやり方です。

例えば英語力などのスキル系のものはほとんど、階段状に成長します。しばらく成長を感じられない期間が続いて、ある日グッと伸びてくるのですが、多くの人はそうした下積み期間に耐え切れません。効率を求めて、あれこれ新しいやり方を模索しますが、それがかえって自分を成長期間に到達することから遠ざけているのです。

大事なのは効率性よりも継続のしやすさで、多少のんびりとしたペースであっても、まずは成長が実感できる段階に到達することを優先すべきなのです。継続するための工夫としては、「自分にとって心理的なハードルの低い、できるだけ簡単なことから始める」「ある程度の効率的なやり方が見つかったら、妥協して見切り発車する」といったものがあります。

人より遅れて何かを始めようとする人は、「もっと効率的にやらなきゃいけない」と焦りがちですが、まずはその考えを改めてください。

 

【「効率的にやりたい」と考えなくなるコツ】
・ほどよく妥協して見切り発車する
・できるだけ簡単なことから始める
・ 「効率性」よりも「継続性」を重視
「めんどくさい」を引き起こす考え③ 最初からいい結果を出したい

3つ目は「最初からいい結果を出したい」です。それだと行動するためのハードルが一気に上がってしまい、行動を起こせません。「最初からいい結果を出したい」という人に対して、私は、「まず失敗を目指してください」と言っています。

以前、私は「インターネットのオークションサイトで商品を売って稼ぎたい」という人の相談に乗ったことがあります。その人は、ネットで稼ぎたいという気持ちがありましたが、実際、ネットで商品を販売しようとすると、めんどくさいと感じて行動に移せませんでした。こうした人は、次のようなことを考えます。

やるなら、絶対売りたい。売るためには、コピーライティング、文章が大事だ。コピーライティングを学ぼう。そして、次に写真。写真を撮るには今の家は散らかりすぎている。まずはそこを片付けるところから始めよう。それから照明。照明器具とか専門器具が必要なんじゃないの? 普通に撮ったら売れないんじゃないの? それでインターネットで照明器具を探し始めます。

最初のハードルが高すぎると

そんなことをやっていたら、いつの間にか「あんまりやる気が湧かないな。もう疲れたから、明日でいいや」と考えるようになって、結局、行動しなくなるのです。ネットオークションに限らず、皆さんもこのような経験はありませんか?

結局、何事も初めてやるときというのは、いちばん大きなエネルギーが必要なのです。始めるだけでも大変なのに、最初からいい結果まで求めていたら、めんどくさくなって当然なのです。

私は、その相談者に、わざと失敗してもらうように、オークションサイトに登録して出品してもらいました。「説明文も『これはバッグです』と一言だけ書けばいいのです。写真も掲載しません。とにかく、誰からも絶対に購入されないように出品してください」とお伝えしました。すると、その人は心が軽くなり、あっという間に出品することができました。

もちろん、商品は売れませんでしたが、その後少しずつ改良を重ね、今では、ネットでバリバリ稼ぐようになっています。誰でも最初の一歩がいちばん大変ですからね。そこさえ乗り切れば、あとはなんとかなるものです。

最初は、質よりもスピードを重視することが大切です。やっていくうちに、質は自然と上がっていきます。

「めんどくさい」を引き起こす考え④ 選択肢は多いほうがいい

 

めんどくさいを引き起こす5つの考えの4つ目は、「選択肢は多いほうがいい」です。では、選択肢が多いことの何がいけないのでしょうか?

一般的には、選択肢が多いほうが成功するチャンスが広がると思われがちです。しかし、人は、選択肢が多いと行動しづらくなるのです。買い物で、数種類のラインナップの商品と、数十種類のラインナップの商品とを比較した場合、種類が少ない商品のほうがはるかに売れやすいという研究結果もあります。

そうはいっても、選択肢が少ないと不安ですよね。行動する前にまったく情報収集をしないのはどうかと思いますが、ある程度情報を集めた段階で、行動に移すことが大切です。

集めるべき情報といらない情報

どんな情報を集めればよいかというと、それは、「今すぐ行動につながりそうな情報」だけをなるべく集めるようにするのです。「今すぐは行動につながらないとわかっているけれど、将来役に立つかもしれない」と思っているような情報は集めてはいけません。

例えば、テレビのニュースを見ないと、なんとなく世間についていけなくなる気がしますが、多くの人にとって、テレビでニュースを見ることは悪いことです。なぜなら、私たちが五感を通じて脳にインプットしたものが、私たちの思考や感情に影響を与えているからです。

テレビでニュースを見て、怒ったり、不快な気分を感じる人は多いです。自分とは関係のないどこかの企業が不祥事を起こしたとか、自分がたいして興味のない芸能人が離婚したとか、どこかの土地をめぐって国家間が対立しているといったことばかりが目に入ってきます。そのために、「なぜ、あいつはあんな行動をとったんだ」「世の中にはひどいやつがいるよ」などと言って腹を立てたり、気分を害しています。

実際、ニュースのほとんどがネガティブな情報です。ネガティブな情報に接すれば接するほど、ネガティブな考えや感情が生じやすくなります。つまり、ついネガティブに考えてしまう人は、無意識にネガティブな情報を収集しているからと言えます。もちろん、それだけが原因ではありませんが、そうした知る必要のない情報が、人の心をネガティブな方向に引っ張っていくのは確かでしょう。

インターネット上のニュースをヘッドラインだけ見て、興味を持った記事だけを深く読めば、十分世の中の流れについていけるはずです。

「めんどくさい」を引き起こす考え⑤ できなかったら、それは私の意志が弱いから

何か行動を継続できなかったら、つい自分の意志が弱いと思ってしまうのは、人の性というものです。しかし、「意志」の力はほとんど関係ありません。夢や目標の実現に向かって進んでいるとき、最初は誰でもできなくて当たり前だからです。

 

誰でもなかなか思ったように行動できなかったり、横道にそれたり、時には後退してしまうことがあるものですし、それは当たり前のことです。でも、諦めてはいけません。諦めずに続けていれば、すべてが順調に運ぶものです。まったく進んでいないように思えるようなときでも、長い目で見れば順調と言えます。