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製造現場にも遠隔化の動き

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、製造現場で働く人の健康を守る装着型端末に注目が集まっている。NTTアドバンステクノロジ(川崎市)は、腕時計型端末を活用し、作業員の健康状態を把握できるサービスを提供。京都市のベンチャー企業は遠隔指導ができる眼鏡型端末の販売を始めた。工場で従業員が感染し、消毒作業に伴い操業を一時停止した企業もあり、現場での感染リスク軽減が課題となっている。


 腕時計型端末は、工場や倉庫で働く作業員のストレス度や皮膚温度などをセンサーを通してリアルタイムに測定する。脈の乱れといった異常を検知すると管理者に通知。体調変化やその兆しに早期に気付くことができる。

 

もともとは熱中症対策などの目的で昨年製品化された。今年2月、技術展示会に出品したところ、工場などでの導入に関する問い合わせが増加。NTTアドバンス社は「現場で働く作業員の体調変化に早期に気付く手助けができれば」と話す。


 ベンチャー企業のハイシンク創研(京都市)は、眼鏡型端末「スマートグラス」を2月に発売した。端末に付けたカメラで作業状況を遠隔地で共有できるほか、レンズ部分にマニュアルなどを映し出せる。遠隔指導により接触頻度が減るため、感染を防ぐ効果が期待できる。


 日本から中国の工場作業員に指示を出せるのも特長で、欧州日用品大手ユニリーバが導入。世界的な移動制限の中で注目を集め、自動車部品関連や家電メーカーなど50社以上から問い合わせがあるという。ハイシンク創研は「新型ウイルスが広がる中、遠隔で指導できるニーズは大きい」と手応えを示す。