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ネットショップに活路を見出す事業者たち

外出規制が続く中、自宅で過ごす「巣ごもり」の消費者を取り込もうと、インターネット通販に対応したオンラインショップの新規開店が急増している。想定外の売り上げ急減にあえぐ事業者が、「砂漠のオアシス」と化した新商圏に救いを求めて殺到している。

 

新作にこだわったクラフトビールを手掛ける「京都醸造」(京都市)が3月に始めた通販サイトには、茶色い瓶にネックタグだけのビールが並ぶ。新型コロナウイルスの影響で、売り上げの97%を占めた、飲食店向けのたる販売が急停止。残ったたるから急きょ瓶に詰め替えたが、一部はラベルが間に合わなかった。
 それでも4月にかけて販売本数は倍増。売り上げ全体は感染拡大前に比べて5割減と依然厳しいものの、共同創業者のポール・スピードさんは「消費者の反応が見えるのはうれしい」と前を向く。
 サイト立ち上げを支援する業者にとっては顧客獲得の好機。「ネットは不慣れ」といった実店舗からの依頼が絶えず、大盤振る舞いのキャンペーンを競っている。


 初期費用無料化を打ち出し、月額834円から出店サービスを提供するGMOペパボ(東京都渋谷区)は、4月の新規出店件数が前年同月の2倍を超えた。同業のショッピファイ(本社カナダ)も4月の新規件数が前月の1.5倍と好調。無料の体験期間を2週間から3カ月間と大幅に延長した。
 米決済大手によると、3月の世界全体のオンライン購入の件数は前年同月比74%増加した。日本国内でも傾向は同じで、GMO関係者は「巣ごもり消費の増加は鮮明で、出店業者の販売総額も右肩上がりだ」と話した。