型式認証を受けた市販のレベル3の自動運転車が日本の公道を走ることが認められた。だが同自動運転は、実質的には乗用車による、高速道路での同一車線内の低速走行に限定される格好だ。注意が必要なのは、レベル3による自動運転中でも運転者に安全運行義務が課される点。さらに、自動運転に関わる作動状態記録装置に記録すべきデータが最小限に抑えられている点だ。
世間が新型コロナウィルスの話で持ちきりだった4月1日、重要な意味を持つ改正道路交通法が国内で施行された。システムが運転を担う「自動運転」の実現に対応したもので、今回の改正でレベル3の自動運転が法的に解禁されたことになる。
自動運転関連で新たに加えられた主な条文は以下のようなものだ。
(二) 当該自動運行装置に係る使用条件を満たしていること。
(三) 当該運転者が、前二号のいずれかに該当しなくなった場合において、直ちに、そのことを認知するとともに、当該自動運行装置以外の当該自動車の装置を確実に操作することができる状態にあること。
自動運転中のスマホ操作は罰せず
一番のポイントは、自動運転中の前方注意義務が免除されている点だ。昨年12月の道路交通法改正で一般車両運転中のスマホ操作など(ながら運転)に対する罰則が大幅に強化されたが、自動運転車両の自動運転中には、そうした行為をしても罰せられない。ただ、安全運転義務は免除されておらず、寝るなどの行為は認められていない。
ここで気になるのが、自動運転中に事故が起きたときの責任だ。道路交通法はあくまでも行政上の責任(免許取り消し・停止など)を定めた法律だが、刑事責任(罰金や禁固・懲役など)や損害賠償などの民事責任の判断においても、道路交通法を順守していたかどうかが大きな判断基準になる。
レベル3特有の問題
自動運転というよりも、レベル3ならではの問題がある。一部の研究者は「レベル3とは自動運転機能の使用中はレベル4の完全な自動運転、その先(自動運転機能を解除してドライバー自身が運転している時)はレベル2の普通の車。だからレベル3の概念は必要ない」という人もいる。だが、実際はそれほど単純ではない。
今回解禁されたレベル3は、自動運転機能の機能限界(設計上決まった走行条件外のとき)になれば、人間が運転を代わる必要がある。現実問題としてドライバーが瞬時に運転を引き継ぐのは難しく、その準備に必要な時間を考えると、引継ぎまで10秒はないと厳しいというのが一般的な認識になっている。
10秒といえば高速道路ならかなりの距離を進む。この間に事故が起きたら誰が責任を負うのか曖昧だ。運転手はすぐに運転を代われる状態で待機している必要があり、すぐに対応できずに事故が起きた場合には、運転手が責任を問われる可能性があるとみている。
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